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ホラーより怖い衝撃ドラマ『絶対正義』が教えてくれる「信念は凶器になる」

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『絶対正義』公式サイトより

 大人の土ドラ『絶対正義』(フジテレビ系23:40~)が、放送開始から「予想に反して面白い!」「ホラーより怖い」と、反響を呼んでいる。

 自分の定める「正義」の範疇から外れた者をSNS等で徹底的に叩き、必要以上に「正しさ」「正義」を求める現代。そんな時代のゆがみが生み出した、かつてない正義のヒロイン・範子は救いの天使? それともすべてを壊す悪魔ーー? 「私、何か間違ったこと言ってる?」と問いかける範子の狂気じみた「正義」は視聴者に恐怖と共感のどちらをもたらすだろうか。

 高校卒業間近の1月、転校してきた高規範子はバスで痴漢されていた由美子を助けた。それ以来、由美子たちのグループは範子を「正義のヒロイン」と慕い仲間に加えることに。しかし、彼女たちは気づいていなかった。地味で礼儀正しい普通の少女だと思っていた範子の「本当の姿」に。

 原作は「イヤミス」の旗手・秋吉理香子著書の『絶対正義』。映画化で話題となった『暗黒女子』や問題作『聖母』など、数々の衝撃作品を世に送り出し、コアなファンを獲得している。

不気味な範子と娘・律子

 最恐の主婦・範子を演じるのは昨年『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)で記念すべき初主演を飾った山口紗弥加。法律を唯一無二の基準にして生き、周囲の人間を容赦なく「正義」で追い詰める恐ろしい女性を熱演している。『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系)で狂気の妻を演じ、視聴者を震撼させた彼女の更なる怪演が見ものだ。

 高校三年の三学期に転入してくるや、わずか数カ月のあいだに、温情で学生の喫煙を見逃した教師と警察官を懲戒解雇に追い込み、廃屋で寒さをしのいでいたホームレスまでも排除した範子。「正義」の名の下、まるでロボットのように冷徹な裁きを下すその姿には、義理や人情といった人間的な感情を一切感じ取れない。

 いや、元々彼女はそんな感情を持ち合わせていないのかもしれない。なぜなら、裁きの対象が親しい友人でも唯一無二の我が子だとしても、その信念は揺るがないからだ。彼女の「正義」は誰に対しても異常なほどに平等で、かつ公平なのである。

 すべてに対して正しくあることを追求する範子は、自身の娘・律子にもそれを強いている。決して母娘の仲は良好に感じられないが、2人はどちらも前髪を眉毛の上まできっちりと切り揃えた、おかっぱの「ニコイチ」ヘアスタイル。律子をまるで自分の分身かのように教育する範子に、背筋が冷たくなる。

 正しすぎる母親を陰で「あの人」と呼び、正しすぎる行動に反発しているようにも見える律子だが、「寂しい」と訴えたり、範子の気持ちを試すような大胆な行動を起こしたり、その感情は複雑なようだ。しかし、達観したような瞳とふいに見せる不気味な笑みが、この娘が母に従う従順なキャラクターのままで終わらない事を物語っているようで、恐ろしい。

正義に翻弄される友人4人はどうなってしまうのか?

 範子と再会してからというもの、散々な目に遭わされる同級生の由美子(美村里江)、麗香(田中みな実)、理穂(片瀬那奈)、和樹(桜井ユキ)。異常な範子に対し怒りや恐れの気持ちを抱きつつも、友人である彼女を信じる気持を捨てきれていない。4人は学生時代、彼女から窮地を救ってもらったことを感謝しているからだ。

 しかし、範子の「正義」により由美子は子どもを奪われそうになり、女優の麗香は仕事に大きなダメージを与えられてしまう。範子の能力を買い社員登用した理穂でさえ、彼女の起こすトラブルに耐え切れず、夫との仲まで険悪になってしまう始末だ。

 唯一範子と渡り合えそうだったジャーナリストの和樹も、ジャーナリスト生命を絶たれるかもしれない危機に追い込まれている。果たして彼女たち4人は範子に反撃するのだろうか? それとも範子の「正義」に敗北してしまうのか? かつては「正義のヒロイン」であった範子が恐怖の対象へと変貌した今、どれだけ「正しい存在」であっても、いや正しくあればあるほどに範子は敵である。4人は彼女にどのように立ち向かっていくのか、今後の展開がとても気になる。少しでも希望が見えるラストだと良いのだが……。

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