カジサックいじり批判で宇野常寛氏に寄せられた「仕事放棄」の批判から読み解ける、日本社会の現実

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個人の行動が社会を変える時代へ

 だが、多くの先進国と同様、日本も成熟社会となり、輸出主導で成長するフェーズから、個人消費で成長するフェーズへとシフトしている。

 集団からの同調圧力が強い保守的な社会では、イノベーションが活性化しにくく、消費主導で経済を成長させることができない。日本には十分な資本が蓄積されているにもかかわらず、製造業主導から消費主導への経済転換が実現できないことには、実はこうした心理が大きく影響している可能性があるのだ。

 内向きな風潮を変化させるためには、何らかのきっかけが必要である。小さなイベントに関する話ではあるが、宇野氏が、従来の日本基準でいうところの「大人げない」対応を取ったことには、それなりの意味があると筆者は考えている。

 多くの人が「違う」と思うことに対して、少数派であってもストレートにノーを突きつけることのできる社会になれば、相応の混乱は発生するだろうが、最終的には健全な消費社会を形成する原動力になるだろう。

 経済というのは、個人の小さな行動の積み重ねで出来上がっている。身の回りにある小さな理不尽に対してノーを突きつけることは、最終的に経済全体を動かす大きなパワーにもなり得るのだ。

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