政治・社会

グリコ子育てアプリが採用した「男性脳」「女性脳」というジェンダーステレオタイプ

【この記事のキーワード】

夫婦での子育てを後押しも、アプローチがジェンダーステレオタイプ

 「こぺ」は、江崎グリコの「Co育てPROJECT」の取り組みのひとつなのだが、同プロジェクトは<「妊娠からはじまる1000日間」を、子どものココロとカラダの基礎をつくる大切な時期と捉え、その時期の子育て課題の解決>、<米国で提唱された「Coparenting」という育児概念をベースに、夫婦間のコミュニケーションや育児協同を促すことで、家族の良好な関係づくりの促進>が目的としている。「Coparenting(コぺアレンティング)」とは、<夫婦で共に取り組む育児>のことで、<共同育児>とも呼ばれる。

 江崎グリコは、<女性が仕事と家庭の両立を実現するためにも、パートナーである男性との育児協同は必要不可欠>と、共同育児を推進。だが<現状は“ワンオペ育児”に代表される分担差が夫婦間には存在し、また、それに起因するコミュニケーションの悪化が夫婦間で発生しているのも事実>だとし、それらの解消に向けて同プロジェクトを始動させた。東北大学と「Coparenting社会実現に向けた社会実装型共同研究」を行うなど、商品開発以外の形でも子育てにアプローチしている。

 江崎グリコは子育てを応援しており、子育てを母親だけの責任と捉えてもおらず、むしろ夫婦や社会が協力して子育てをすることが大切で、そのための環境を整えたいと考えている。「こぺ」も、夫婦のすれ違い解消を導き、夫婦が互いを尊重し協力しながら子育てすることを後押ししたくて開発したはずだ。にもかかわらず、夫婦のすれ違いを解消するためのアプローチにジェンダーステレオタイプを用い、強化してしまっていることは残念に思う。

 ちなみに「こぺ」の監修を担当したのは、感性リサーチ代表取締役社長の黒川伊保子氏だ。黒川氏は“独自の脳研究”の結果である「男脳」「女脳」トークをテレビや雑誌で披露している。2月21日発売の「週刊文春」(文藝春秋)「60歳からの『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』」企画にも登場し、「女性脳は気分主導型」「男性脳は“定番の壊れ”に強い不安を感じる」等と解説。

 この企画には「夫婦だからこそ、心に浮かんだ言葉をそのまま口にすると地雷を踏みます」とあるが、友達や同僚、親きょうだいだって、「心に浮かんだ言葉をそのまま口に」すれば失礼なことは多々ある。脳うんぬんではなく、夫や妻に対してなら気を遣わず(話をろくに聞かないなど)イライラしや怒りをぶつけてもかまわない相手という認識を持つことが、関係悪化の原点ではないだろうか。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。