バーニー・サンダース再び参上!〜今度こそ「民主社会主義」の実現なるか? 2020大統領選

文=堂本かおる
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 バーニー・サンダースが、とうとう2020大統領選への名乗りを上げた。打倒トランプを目指して民主党からの候補者が続々と出馬表明を続ける中、「絶対に出馬するよね」「さすがに今回はどうだろう?」と、その動向が噂されていたところだった。

 前回2016大統領選の民主党予備選は、サンダースとヒラリー・クリントンの激戦となった。ウォール街と結託した既存の大物政治家にウンザリしていた若者たちは、民主党からではあるが民主社会主義(Democratic Socialism)を掲げるサンダースに強く惹き付けられた。当時すでに70歳を超えていたサンダースに、大学生や20代の若者たちが熱狂したのだった。

 しかし、健闘むなしくサンダースはヒラリーに敗れ、その後の成り行きは言うまでもない。本選でヒラリーは実際の投票数ではわずかにトランプを上回ったものの、選挙人制度の壁に阻まれ、トランプが第45代アメリカ合衆国大統領となってしまった。

民主社会主義とは?

 あれから4年、サンダースの勢いは全く衰えていない。選挙キャンペーンの公式ウェブサイトのトップページには、こう書かれている。

「想像できる限りの最も優れた候補者であっても、一人ではトランプや富裕層と戦えない。勝つ方法はただひとつ ~ 共に戦うのだ」

 サンダースは早速、公式Tシャツも販売している。Tシャツにはこう書かれている。

全ての人に(無償で)大学を、
全ての人に(無料の)医療保険を、
全ての人に仕事を、
全ての人に正義を。

 本来は相反する民主主義と社会主義を合体させた「民主社会主義」とは、民主主義を土台としながらも、アメリカの桁外れな所得格差を是正し、基本的人権を保障する主義だ。アメリカでは基本的人権に含まれる教育や医療にかかる費用が非常に高い。医療費を払えるだけの収入を得るには教育(学歴)が必要だが、親に仕事がなければ(あっても低賃金であれば)、子供の教育費を払えない。すると子供も将来、医療費を払えない。さらに、司法(正義)ですら低所得者やマイノリティーには不利に働く社会的な仕組みが出来上がってしまっている。

 民主社会主義はこうした不平等を是正しようとする主義である。キーワードは「自由」「正義」「連帯」だ。

 昨年11月の中間選挙で一大旋風を巻き起こし、29歳と女性では史上最年少で下院議員に当選したアレキサンドリア・オカシオ・コルテスは、サンダース流の民主社会主義の申し子だ。今年1月の就任後もベテラン議員をまったく恐れない物言いと、民主社会主義に基づいた大胆な法案で注目を集め続けている。

 一方、同じく民主党からの大統領選候補であり、現在のところ最も有力視されているカマラ・ハリスは、自分は民主社会主義ではないとはっきり語っている。双方の違いは、今年6月から始まる大統領候補者のディベートで明らかになっていくはずだ。

 サンダースが大統領候補として憂慮される点は、年齢と宗教だ。現在のところ、就任時の最高齢はトランプの70歳、レーガンの69歳(再選時は73歳)だ。もしサンダースが当選すれば就任時には79歳と、史上最高齢の大統領となる。

 一般的に若さと活力が好まれる国であることに加え、あまりに高齢では大統領の激務に耐えられるかとの疑問が出る。加えて今回の大統領選の出馬者は特に若く、二人の30代が含まれている(大統領立候補は35歳より可能)。

 またサンダースはユダヤ教徒でもある。歴代45人の大統領は全員がキリスト教徒であり、信仰心の篤さは人によって異なるとはいえ、アメリカは事実上のキリスト教国なのである。ユダヤ教徒に対しては今も家屋にハーケンクロイツが落書きされるなどのヘイトクライムもある。サンダースは信仰熱心ではないと伝えられているが、それでも前回の立候補時に、有権者がサンダースについて最初にサーチしたのは年齢と宗教だったと伝えられている。

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■バーニー・サンダース(民主党)
現職:上院議員(ヴァーモント州)
前職:下院議員(ヴァーモント州)
人種民族:ユダヤ系(白人)
性別:男性
年齢:77歳
最終学歴:シカゴ大学
宗教:ユダヤ教
公式サイト:https://store.berniesanders.com/

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