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国際紛争に平和的なケリをつける手段としての「決闘」

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『ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング 第1巻』(竹書房)

 世界は国際的な緊張が絶えない。最近では南米ベネズエラのマドゥロ大統領に対抗して暫定大統領就任を宣言した野党指導者のグアイド国会議長を米国が強力に支援。トランプ大統領は軍事介入もちらつかせる。中国は貿易問題や南シナ海の領有権、台湾の独立問題などをめぐって、米国と激しく対立する。日韓関係悪化も然りだ。

 国家間の緊張は、戦争に発展するリスクをはらむ。多数の人命を奪い、国土を破壊する戦争が悲惨であることは言うまでもない。外交交渉でも国家間の争いごとをうまく解決できない場合、なんとか戦争以外の方法でケリをつけられないだろうか。

絶大な麻雀力を秘める女子高校生が繰り広げる世界史

 そのヒントになるマンガがある。大和田秀樹『ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング』(竹書房)だ。出版元から想像できる通りの麻雀マンガだが、ただの麻雀マンガではない。ほとんど実在の人物そのままの国家首脳たちが、あらゆる争いをなぜか麻雀の勝敗でカタをつけるという、奇想天外すぎる物語なのだ。

 主人公は絶大な麻雀力を秘める女子高校生、御門葩子(みかどはこ)。彼女はその姓が示すとおり、ミカド(天皇)の血を引く皇室系女子である。物語の初めでは、昭和の終戦直後、そのミカドが連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー元帥と自ら交渉し、日本国民の安全を保障させた舞台裏を描く(第1巻)。交渉手段はもちろん、麻雀だ。

 GHQ本部地下の闘牌場(麻雀部屋)で運命の一戦が始まる。親のマッカーサーが配牌で早くもテンパイし、ダブルリーチをかけたのに対し、ミカドはただちに三種の神器にちなむ役満の大三元を相手からアガり、逆転勝ちする。

 このマンガでは大きな役をアガられて点数上のダメージを受けると、同時に電流に打たれたり壁に叩きつけられたりして、物理的にも打撃を被る。マッカーサーは文字通り叩きのめされ、日本国民の安全を約束する。なるほど、そうだったのか。

 米大統領選でドナルド・トランプがヒラリー・クリントンを破った内幕も知ることができる(第1巻)。じつはアメリカ合衆国で大統領を決める手段は、麻雀だった。

 天王山となったフロリダ州での勝負で、トランプは引いた九萬を場に叩きつける。切ったものだと思ったクリントンは喜んでロンを宣言し「わたしの勝ちよ!!」と叫ぶが、これは勘違い。トランプはアガり牌をツモり、勝利を収めたのだ。大統領になれなかったクリントンは結果を受け入れることができず、憔悴しきって呆然と日々を過ごす。

 ちなみに現実の世界でも、クリントン氏や彼女に近いエリート層は今でも結果を受け入れられず、大統領選はロシアがトランプ陣営と共謀して操作したと主張するキャンペーンに乗り出したものの、いまだに確たる証拠を示せないままだ。

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