
「Getty Images」より
近年、サブスクリプション(サブスクと略されることも多い)というビジネスモデルが注目されている。特に音楽や動画、本などを定額契約で楽しめるサービスが有名だ。このようにサブスクリプションは、インターネットを通じたデジタルコンテンツの配信で普及したビジネスである。
ところがこのビジネスモデルが、デジタルコンテンツにとどまらない勢いで普及している。たとえば服や車、お酒など、あらゆる商材に対してサブスクリプションの波が押し寄せているのだ。
いったいサブスクリプションビジネスモデルとは何か。サービスの提供者やサービスを受ける側にどのようなメリットがあるのか。そして現在、どこまで広がりを見せているのか。
サブスクリプションとは何か
サブスクリプション(subscription)とは、実はまったく新しいビジネスモデルではない。たとえば新聞や雑誌の定期購読もそうだし、毎朝牛乳を自宅に配達してもらうサービスもあった。しかし、近年になって改めてサブスクリプションが注目されたのは、インターネットによるデジタルコンテンツの配信が普及したためだ。
たとえばAmazonやNetflixのような定額課金型の動画配信サービスがある。あるいは定額で電子書籍を読み放題というサービスもある。
そしてもう1つ、サブスクリプションが注目されるようになった背景に、消費者の志向が「所有から利用」にシフトしつつあることだ。
これにより、サブスクリプションの対象商材が、ネットで配信できるデジタルコンテンツにとどまらなくなってきた。
たとえば、家具、クルマ、服なども購入するのではなく、必要なときだけ利用する人が若い世代を中心に増えてきている。このような考え方は、不可分所得が伸び悩み、モノが売れないという経済成長の低迷期に顕著になる。
こんな業界までサブスクリプション化が波及している
それでは、現在どの程度までサブスク化が進んでいるのだろうか。
まず、代表的なサブスクとしては動画配信がある。AmazonプライムやHulu、Netflixなどはメジャーな配信者だ。
ネットによるデジタルサービスを配信しているという意味では、定額でアプリケーションを利用できるサービスの提供者として、アドビシステムズやマイクロソフトがある。また、定額で会計ソフトを利用できるfreeeや、データを保管し同期させられるDropboxなども含まれるだろう。
こうしたデジタルコンテンツはおなじみだが、いまやデジタルコンテンツの枠を超えたサブスクが急増している。
ファッション
今日は何を着ていこう――。限られた予算と収納スペースを工夫した着回し術などが女性誌で取り上げられることは多い。それならば、服やアクセサリーも所有せずに利用すれば良いというのがファッションのサブスク化だ。
有名なところでは女性向けのairCloset(エアークローゼット)がある。プロのアドバイスでコーディネートされた服を利用できるサービスだ。同様なサービスを男女共に利用できるMECHAKARI(メチャカリ)も人気だ。
女性向けサービスが多いが、メンズファッションの月額制レンタルサービス・leeap(リープ)も2016年に誕生した。さらに、Yシャツ専門のYclean(ワイクリン)があれば、ネクタイ専門のKASHI KARI(カシカリ)もあることに驚く。
そしてアクセサリーのサブスクにはSparkleBox(スパークルボックス)があり、ブランド時計のサブスクにはKARITOKE(カリトケ)がある。さらには、「着ルダケ」というレナウンのスーツのサブスクもある。こちらもコンシェルジェがコーディネートの相談に対応してくれる。