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マツモトキヨシ業界4位転落なぜ? 仁義なきドラッグストア戦争の意外な内幕

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(左)ウエルシア薬局(公式サイトより)/(右)マツモトキヨシ(wikipediaより)

 この10年で業界全体の売上高が約1.4倍になったと言われるほど、飛躍的な成長を続けてきたドラッグストア業界。我々消費者の生活にも身近な存在だが、ある異変が起きているようだ。

 2016年度までの22年間、ドラッグストア業界の売上高ナンバーワンとして君臨していたのが、“マツキヨ”の愛称でおなじみのマツモトキヨシHD(ホールディングス)だ。マツモトキヨシは1932年創業という歴史を持ち、長らく業界の雄として君臨してきた。しかし、そのマツモトキヨシが2016年度にトップから転落して以降、業界の勢力図は大きく塗り替えられている。

 マツモトキヨシに代わって首位に立ったのは、M&Aによって規模を拡大してきたウエルシアHDだ。2008年の創業以来急成長を続けており、現在の国内店舗数は1700店を超え、18年2月期売上高は6952億円にも上る。さらに、19年2月期は7800億円を見込んでいるという。

 一方で、現在4位に陥落したマツモトキヨシは、成長著しい5位のコスモス薬品の突き上げもあり、売上高の順位をさらに落とすのではないかと懸念されている。しかし、決してマツモトキヨシの業績が悪化しているというわけではないようだ。都市型の店舗をメインとしているマツモトキヨシは、訪日外国人観光客の消費による好調を背景に、2018年に最高益を更新したとの報道もある。

 マツモトキヨシが後退し、ドラッグストア業界の売上高ランキングが大きく入れ変わったことは、単純な栄枯盛衰で語れることではないのかもしれない。そこで今回は、ドラッグストア業界に詳しい経済評論家の加谷珪一氏に、その現状と今後の予測について解説いただいた。

薄利多売の“スーパーマーケット化”で1位となったウエルシア

 そもそも、ドラッグストア市場が拡大していることには、業界のある思惑が存在しているという。

「ひと昔前までのドラッグストアといえば、主要商品はもちろん薬であり、それに加えて一定数の消費財も扱うというような業態でしたが、ここ数年で状況が大きく変わってきているのです。

 現在、業界売上高1位のウエルシアがいい例ですが、ウエルシアは生鮮食料品まで扱うようになっており、そのおかげで売り上げが非常に伸びています。コスモス薬品もそうですが、現在のドラッグストアの主流派は、明らかに“スーパーマーケット化”を目指しており、薄利多売のビジネスモデルがトレンドとなっています。こうした流れによって、市場規模が飛躍的に拡大していると認識するのが的確でしょう。

加谷 珪一/経済評論家
大学卒業後、出版社を経て、野村グループの投資ファンド運用会社で、企業評価や投資業務を担当。2000年に独立し、中央省庁や政府系金融機関に対するコンサルティング業務に従事している。著書に『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
オフィシャルサイト http://k-kaya.com/

 一方のマツモトキヨシは、いわゆる従来型のドラッグストアのまま、それまでのスタンスを変えていません。つまり、マツモトキヨシが負けたということではなく、ウエルシアといった現在の主流派が、違う方向に進みつつあると言えるのです」(加谷氏)

 他方で、スーパーマーケット業界は昨今、“弱体化している”と見られているという。それは異業種との競争が激化し、スーパーが抱えていた顧客が奪われているからだそうだ。そんな異業種の筆頭格がドラッグストア業界であり、多くのドラッグストアが拡大路線を取ってスーパーと争っているようだ。

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