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本は子どもを幸せにするが、絶対に「本を読め」と言ってはいけない

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「Getty Images」より

 子育て、あるいは幼少期の教育で最も重視したいのは「言語運用能力」です。

 読み書き、特に読解力はあらゆる学習の基礎です。正確に読むことができれば、正確に伝えることができます。そして、読解力がつけば、自分であらゆる文献を読み解くことができますから、知識が増えます。そこでまず力を入れたいのは、知識(語彙)を増やすことです。

語彙の豊富さはなぜ幸福感につながるのか?

 知識が増えると、疑問が湧きます。疑問が湧くということは、知らないことがあると気がつくことです。知らないことがわかれば、もっと知りたいと思います。するとますます知識が増え、世の中を理解する枠組みが増えるというループが起こります。つまり、知的好奇心は語彙の豊富さから生まれると言っても過言ではありません。

 さらに米国の調査によれば、親の語彙数と子の学力は比例関係にあるといいます。子にかける言葉の語彙数が多ければ学力が高くなり、少なければ低くなるというのです。

語彙の豊富さは幸福感につながる

 ことさら語彙力を強調するのには、ほかにも理由があります。なぜなら、語彙の多さと幸福感には相関関係があり、語彙が豊富であればあるほど、幸福を感じやすくなるからです。

 言葉は自分が思考するときのベースです。「これはこういうことかな」「こうしたらいいかな」などと自分の内部で考えるときには言葉を使いますよね。いわゆる内的言語です。

 そんなとき、語彙が貧弱であれば、考えるときに表現できる範囲が小さく狭くなります。それでは多種多様の状況に対応する思考や、思考を深く緻密に掘り下げることができません。つまり考えが浅くなるのです。

 逆に、使える語彙が増えれば増えるほど、思考領域が広がり、思考も深まり、さまざまな事象や感情に対処できるようになるのです。

 語彙が多ければ、自分の感情を自分の内部で適格な表現で言語化することができます。そのため、感情の処理がしやすくなります。

 たとえば不安や葛藤、なんとなく感じる閉塞感といったあいまいな感情の動きでさえ、論理的に言語化できるならば、「いま自分が感じている不安はこうである」と特定することができます。

 特定できれば「こうしてみよう」と解決方法に向かうことができるし、「ではこのように捉えてはどうか」など意味合いを変えて不安を解消させることもできます。あるいは「そういうことだよな」と自分で納得することもできます。それは自分の状態や感情をより快適にしていく作業にほかなりません。

 高度に知的な人があまり感情的にならず落ち着いて見えるのは、語彙の豊富さにもその理由があります。

言葉で思いを表現できないもどかしさ

 しかし、自分の悩みを言語化できなければ、「悩みの原因はこれである」と特定できません。原因がぼんやりしていればどうしていいかもわからず、悩みは悶々と続くことになります。

 「自分では一生懸命努力しているつもりなのに、何もかもうまくいかない。どうしても生きることがつらく、しんどい」と感じている人は、自分の感情を言語化できていません。自分をよく理解し表現できていないからです。また、語彙力や文章の組み立て能力が低い人ほど、相手の言うことを的確に理解できず、さらに自分の思いもうまく言葉で表現しきれず、そのもどかしさにイライラして「キレ」やすくなるのです。

 また、一般的に「怠惰な人間の部屋には本がない」と言われますが、ほぼ当たっていると思います。本を読むと、自分が生きている日常の外側には広大な世界が広がっていて、いろんな生き方や考え方があるのだと気づきを得られます。

 しかし、自分の人生に無限の選択肢があることを知らなければ、どんな場面でどの選択肢を選べば有利になるか、あるいはリスクを避けられるか、そういう発想すら出てこないでしょう。

 私たちは言葉で世界を認識し、言葉で自分を認識します。だからこそ、「言葉にできる」能力は非常に重要であり、「言葉にできない」人との幸福度には大きな差がでるのです。

 幸せな人生にするには、国語力、特に語彙と表現方法を増やすことです。それには読書がぴったりです。

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