
「Getty Images」より
近年、テレビや新聞のニュースで、「第三者委員会」という言葉をよく見聞きするようになった。企業や教育機関、あるいはスポーツ団体などで何か不祥事や疑惑が持ち上がるたびに、この第三者委員会が設置される。
最近では新潟を拠点に活動するNGT48のメンバーがファンから暴行受けた事件で、グループ内部に事件の関与者がいるのではないかという疑いが持ち上がり、NGT48を運営する株式会社AKSが「第三者委員会」を立ち上げて調査している。調査結果の公表は3月中旬を予定しているという。
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「第三者」とつけられていることから、なんとなく利害関係のない中立的な立場の専門家たちが、公平・公正に調査を行っているように思える。しかし、第三者委員会は本当に信頼できるのだろうか。
その信頼性を調査するための団体が、「第三者委員会報告書格付け委員会」なる第三者委員会への格付けだ。
調査の格付けはA~Dまでの評価で行うが、評価に値しない報告については不合格のFとしている。
たとえば、日大アメフト部の「アメフトにおける重大な反則行為」のランクは、Cが1人、Dが8人、東芝の「不適切な会計処理」のランクは、Cが4人、Dが1人、Fが3人という評価をしている。
では、第三者委員会の調査結果をさらに格付けする「第三者委員会報告書格付け委員会」は、なぜ登場したのか。
第三者委員会とは
そもそも第三者委員会は、企業や教育機関、スポーツ競技団体などでコンプライアンス上の問題が生じた際に、その原因を究明して対策を講じるために設置される。このような活動が行われるようになったのは2000年代半ばからだ。
第三者委員会の設置は、法令で義務づけられているわけではない。あくまでも企業などが任意で設置しているのだ。そのため、第三者委員会の改善案には強制力がない。
また、第三者委員会は常設された組織ではなく、事案ごとに設置されるため、メンバーもその都度集められる。ただし、そのメンバーは調査対象とは利害関係のない中立的な立場の専門家が選ばれることが多い。
第三者委員会の役目は、事実(原因と責任)の調査と再発防止策の提示、そしてステークホルダーに対する報告となる。
ところが、第三者委員会のなかには、調査対象からの独立性が怪しかったり、調査結果が企業寄りであったりすることも散見された。そこで日本弁護士連合会は2010年7月に『企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン』を公表した。
ガイドラインには、“企業等の現在の経営陣に不利となる場合であっても調査により判明した事実とその評価を調査報告書に記載すること”などの注意が記されている。
第三者委員会のメンバーは
第三者委員会のメンバーには弁護士や会計士、そして事案に関する専門的な知識のある人が選ばれることが多いが、前述のガイドラインには以下のように示されている。
“第三者委員会の委員となる弁護士は、当該事案に関連する法令の素養があり、内部統制、コンプライアンス、ガバナンス等、企業組織論に精通した者でなければならない。第三者委員会の委員には、事案の性質により、学識経験者、ジャーナリスト、公認会計士などの有識者が委員として加わることが望ましい場合も多い。この場合、委員である弁護士は、これらの有識者と協力して、多様な視点で調査を行う。”
専門家についても以下のように記している。
“第三者委員会は、事案の性質により、公認会計士、税理士、デジタル調査の専門家等の各種専門家を選任できる。これらの専門家は、第三者委員会に直属して調査活動を行う。”
ガイドラインではこのほか、少なくとも3名以上で第三者委員会を構成することを原則としている。