セブンイレブンFC対立問題、コンビニ「24時間営業」の安心感と利便性を支える違法な労働

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身を削るわりには儲からない?

 コンビニが利益を出すためには、売上げから仕入れ費と経費と本部へのチャージ料を引いた額を大きくしなければならない。

 仕入れ原価はおよそ売上の7割と言われているので、利益は売上の3割から経費を引いた額になる。しかも、この経費のなかには、大きな変動費が含まれている。

 それが人件費と廃棄費だ。オーナーや店長が休むためには、どうしてもアルバイトを増やす必要がある。つまり人件費を削ることはオーナーや店長の命を削ることになるともいえる。

 店を24時間365日安心して回すためには、相応の人数を雇用しなければならないし、ある程度時給を上げなくては人が集まらない。しかし、時給を上げたり人数を増やしたりした途端に、利益は減ってしまうのだ。

 さらに廃棄とは、お弁当やパン、おでん、揚げ物などの売れ残りを廃棄することだ。この費用はオーナー負担となる。しかし、本部としては店頭に並べる商品が多いほど売上げが上がるため、より多く仕入れるように要請してくる。だが、多く仕入れればその分廃棄も増えるため、加盟店の廃棄負担は増える。つまり、本部と加盟店の利害が一致していないのだ。

 そして、利益を圧迫する極めつけが、本部へのチャージ(加盟料)の支払いだ。このチャージは総利益に対する割合で決まる。

 たとえば、セブンイレブンの公式サイトを見ると、オーナーが土地や建物を負担している場合で、チャージは売上総利益のなんと43%となっている。土地と建物を持っていないオーナーの場合は、売上総利益により比率が変わるとだけ書いてあり、数字が明記されていない。ちなみに、ローソンやファミリーマートなどのチャージが30%台であるのに対し、セブンイレブンの43%はかなり高めだ。

まだまだ改善の余地はある

 コンビニが24時間営業していることで、私たちは便利さ以上に安心感を得ることができている。

 しかし、その安心感を支えているのは、人手不足やコスト削減、売上増加といったプレッシャーと戦っている現場だ。その結果、コンビニ業界がブラックな業界になってしまっている。

 これを改善するためには、より働きやすい労働環境をつくる必要がある。本部とチェーン加盟店との力関係や契約内容の見直しは必須であろう。24時間営業をやめれば良いという意見もあるだろう。しかし、多くの日本人が、その利便性や安心感に慣れてしまった今、それは難しいかもしれない。

 今回の問題を受けて、セブンイレブン・ジャパンは、3月中旬から24時間営業の見直しに向けた短縮営業の実験を始めると発表した。8都県の直営10店舗で午前7時から午後11時までの短縮営業を実験的に行う。

 ファミリーマートはすでに一部の店舗で24時間営業を行わない実験を始めている。このような動きは注目すべきだ。この実験で得られたデータは、24時間営業の意義を考え直す機会になるだろう。

 また、米国や中国で進められている無人店舗も参考になるのではないか。客が少ない時間帯は、深夜割り増しになる人件費をかけるよりは、店舗を無人化し、制限されたサービスを提供すれば良いという考え方もできないだろうか。

 日本でも、短縮営業実施のみならず、フランチャイズの契約関係、営業時間の見直し、無人化の推進など、できることはまだたくさんあるはずだ。

【*1】やむを得ない事由で休日が必要となる場合に、本部従業員が一定期間、オーナーの業務を代行する制度。

【*2】『コンビニエンスストアに対する監督指導結果及び今後の取組について~平成 30 年度は労働法制セミナーと監督指導を集中的に実施します~』

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