インスタ映えしないから面白い
――波乱万丈なのに、達観されています。本書では、同じく破天荒な道を突き進む作家の中村うさぎさんと対談もされていますが、波のない人生を歩んでいるひとを見たときに、平坦だなぁと感じることはありますか?
及川:それはないですね、そのひと自身のチョイスですから。私自身が波乱万丈だとも感じていません。ただ、こっちのほうが面白そうだなと思って進んでいるだけ。私もうさぎさんも、不幸もなんでもネタにする、それは物書きの業であり、仕事ですから。
私たちは、“インスタ映えしない”ところに面白さを感じるんですよね。映えないと分かっているのにインスタに載せてそれに「いいね」が集まったら、そりゃあきらわれて当然よね(笑)。それを知っていてやる性格の悪さだもの(笑)。
――幼いころは、「型」のなかにじっとしていられない子どもで、親御さんとも戦いの日々だったと。子どもの個性や才能を伸ばすことは親なら誰もが頭を悩ますことでしょうが、幼少時に型に押し込めることで生きる「基礎」を築かせるのは、子育ての上での大きなヒントになりそうです。
及川:私たちの親の世代は、勉強やしつけでもって子どもを箱にギュウギュウ詰め込んできました。その箱の中身は“常識”です。親は絶対に、教育やしつけをしなくてはいけません。でも、子どもってそこから必ずはみ出すし、はむかうもの。それが個性だったりするの。
「面倒な女」に対してだけ勃たなくなる現象/中村うさぎ×二村ヒトシ×枡野浩一【1】
連続対談企画「心から愛を信じていたなんて」、第四回は中村うさぎさん×二村ヒトシさん×枡野浩一さんによるスペシャルトークをお届けします。 「…
及川:今年の年始に、神社の灯篭にのぼってお金をばらまいた人がいてインターネット上で騒ぎになりました。やっていいことといけないことがわからないのか、バチがあたるぞってツイートしたのですが、明らかに的外れなリプが2つきたんです。
ひとつは「誰にも迷惑かけてないから許してあげましょう」、もうひとつは「バチがあたるという考えは“日本教”で、グローバルでは通用しない」ってもの。ここは日本ですから、ご来光をありがたく感じたり、道ばたのお地蔵さまに手を合わせたりという日本の宗教的なアイデンティティは日本独自のもので、海外へ行って同様にしろというのとは別問題。迷惑かけてなければというのも、モラルな常識がなければ国が壊れてしまうでしょう?