社会

『妻のトリセツ』大ヒットという危機感 ジェンダーロールとインチキ脳科学の結びつき

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 男女の違いを「脳のつくりの違い」で説明するネタは、多くの番組で取り上げられてきた。2017年6月11日に放送された『NHKスペシャル ニッポンの家族が非常事態!?  第2集  妻が夫にキレる本当のワケ』(NHK)では、「今、ニッポンの家族の中で夫に対する妻の怒りが高まって」いるとして、最新科学を使って妻が夫にキレる原因や解決案に迫るという企画だった。NHKでさえこうした番組を放送するのである。

 その『NHKスペシャル』では、脳の情報伝達の仕組みや脳の扁桃体・海馬の働きには男女差があることが夫婦のすれ違いの要因だという内容を、最新科学で明らかになったとしつつも「~と言われています」「~と考えられています」「~と見られています」等の表現を多用して説明していた。

 「男性脳」「女性脳」として語られているそれぞれの特徴は、男性と女性のジェンダーロールと密接に結びついている。そもそも、「脳の性差」を証明するエビデンスはなく、むしろそんなものは存在しないという研究結果が発表されている。にもかかわらず、こうした“脳科学”はメディアを通じて一般に広く受け入れられてしまっているようだ。結果的に、目の前の相手を見ず、平均化され偏見にまみれた「男はこう、女はこう」という見方でコミュニケーションを取るようになってしまえば、それは良い“トリセツ”とは言えないのではないだろうか。

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