一連の死亡事故が忘却されつつある
最近、またホメオパシーが広まりつつあるようです。ある地方自治体では、「生涯学習塾」の講座として「ホメオパシーセルフケア入門教室」が2018年度から開講されていました。自治体から依頼された「生涯学習塾」の運営委員会が講師を公募・審査していますが、その中にホメオパシーが紛れ込んでいたのです。2019年度の募集案内を見てこれに気付いた住民が自治体に指摘をしましたが、担当職員はホメオパシーの問題性について全く知らなかった様でした。

ある自治体の生涯学習講座にホメオパシーが入っていた(平成31年2月に配布)

ある自治体の生涯学習講座にホメオパシーが入っていた(平成31年2月に配布)
受講者は自治体が関与していることで安心して参加してしまうので、そのままホメオパシーを信じてしまう可能性が高くなります。募集案内の説明によると、受講希望者が10名以上で開講することになっているので、ホメオパシー講座も2018年度に10名以上が受講していたことになります。その自治体の担当部署に問い合わせたところ、ホメオパシー講座について批判意見がいくつか寄せられたことから、2019年度も開講するかどうか現在検討中とのことです。この自治体に限らず、講習会などにホメオパシーなどの「ニセ科学」が紛れ込まない様に、担当部署は日頃から注意を怠らないで欲しいと願います。
(追記)ここで取り上げた自治体の「ホメオパシー講座」 については、「生涯学習塾」の運営委員会で審議した結果、 今年度以降は開講しないことが決定されました。
ホメオパシーによる一連の死亡事件から10年ほど経ち、社会からその記憶が薄れ始めた今、再び注意喚起が必要だと思い、筆をとりました。ホメオパシーは最も基本的な「ニセ科学(医学)」なので、社会への広まり方も典型的です。他のニセ科学でも同様ですが、公的機関(行政、学校など)に関わり始めたら、注意をしていく必要があります。どうか、くれぐれもご用心下さい。
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