副反応が起きた人にどう寄り添う?
映画の件を簡単に補足しておくと、MMRワクチンとは〈おたふく(mumps)・麻疹(measles)・風疹(rubella)〉が入った混合ワクチンのこと(世界ではこのMMRワクチンが標準とされているそう)。映画では、このMMRワクチンを自閉症の原因になる! とディスり、単独ワクチンを推奨しています。
公開中止のきっかけは、日本向けメッセージとして作成された動画(現在はこの動画は削除)。ワクチン接種を推す運動のパレード画像に「国民の反対でMMRは中止された」というような、真逆のキャプションをつけていたという話で、なんとお粗末(嘘松と言うべきか)。
さて話は戻り、この市議とは、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会事務局長を務める人物です。同会とは、性行為で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)への感染(正確にはがんに進展する型への感染)を防ぐHPVワクチンによって現れた体調不良を「ワクチンの副反応」ではないか? と問題視し、被害を認めてほしいという訴えている団体です。久住氏は被害者連絡会のあり方を問題視します。
「今日、子宮頸がんワクチンを打ってきました」“予防できるがん”としての子宮頸がんを考える/ジャーナリスト村中璃子さんインタビュー
2018年6月14日、日本政府が、子宮頸(けい)がんを予防する「ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸がんワクチン/以下、HPVワクチン)」の「積…
久住氏「連絡会が一様に言うのは、デモをやるから集合しろとか、何々をするからカンパしろというような情報ばかりで、治療に向かうような情報が回ってこない。一方ポリオの会という活動をしている方は、ポリオになって困っている人へ向け、『いい車いすが出た』などの有用な情報を本にして定期的に配布している。それと比べると、同会は、誰のために役立っている活動なのかと思う」
子宮頸がんワクチン問題は同会だけでなく、薬害オンブスパースン会議という民間の機関が海外からの報告を集め、シンポジウムを開催するなどの活動も行っています。それらの内容も含め、ナカイ氏は「調子が悪いと訴える当事者が置き去りになっている。誰も寄り添っていない」と言います。
ナカイ氏「『あなたたちはこんな被害を受けて本当にかわいそうだね』と言うのが、寄り添うことではない。『未来が閉じられてしまった』と周りが騒ぐことが、一番かわいそう」