毎月勤労統計だけではない、生活保護費引き下げに使われた「消費者物価指数」をめぐるもうひとつの統計疑惑

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物価偽装は生活保護削減のためなのか

 先のパーシェ方式と相まって、テレビやパソコンの価格破壊も下落率に大きく影響しました(2011年7月にアナログ放送が終了した影響もあるでしょう)。

 つまり「日常的に生活保護を受けている世帯が購入するわけではない電化製品の価格破壊のせいで生活保護費が大幅に削減された」というのが白井氏の主張です。

 2014年に白井氏はこの取材結果を書籍として上梓しました(『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』あけび書房)。

 この「物価下落偽装」による生活保護の引き下げが不当であるとした訴訟が各地の地方裁判所で行われています。また、この件を改めて社会に問うとして、研究者160名超による共同声明が出されました。

 データの数値が不自然な動きをすれば、統計リテラシーのある者からすれば一目瞭然で、その不正は暴露されるのです。そのことに気づかないで統計を扱う者など、選ばれし国家公務員にはいないはず。果たして、この統計の不正調査は単なる厚生労働省の統計人員削減による体たらくとして片づけられるものなのでしょうか。

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