相談しても会社はセクハラ加害者の味方に…「ハラスメント相談窓口」をつくっただけではセクハラはなくならない

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「Getty Images」より

 今月頭で2020年卒業の大学生の採用情報が公開された。いよいよ就職戦線が本格化するわけだが、これから社会への第一歩を踏み出そうとする就活生を暗澹とさせるニュースが続いている。スーパーゼネコンの大林組の採用試験をめぐってハラスメントの問題が相次いで発覚したのだ。

 大林組では、先月、20代の社員が就職活動中の大学生にわいせつ行為を行ったとして、強制わいせつ罪の容疑で逮捕された。

 この事件は「VISIT OB」という就活生のOB訪問をサポートするスマホアプリがきっかけで起きた。このアプリを通して2人は品川駅近くの喫茶店で会うことになったのだが、容疑者は「面接のための資料をパソコンで見せながら説明した方がいい」といった誘い文句で自宅に誘い、そこでわいせつな行為に及んだという。

 この事件は大々的に報道され、圧倒的な力関係の差を悪用した許されざる振る舞いに批判の声が起こったのだが、実はこれは氷山の一角でしかなかったようだ。

新たに報道された大林組のスキャンダル

 「週刊文春」(文藝春秋)2019年3月14日号では、同じように圧倒的な力関係の差を背景とした事例が告発されている。

 記事で告発しているのは、去年の春に大林組に入社した斉藤絵美さん(仮名)。彼女は最終面接前から入社までの間に複数回関係を持たざるを得なかったと告発している。

 斉藤さんが被害に遭ったきっかけは、就職サイトを通じて大林組にエントリーした後、高橋修一(仮名)という当時54歳の大学OBのリクルーターから連絡が来たことだった。

 初めて会ったときは普通に仕事の話をするだけで何をされることもなかったのだが、無事に選考が進んで役員面接を目前にしたとき、ついに問題が起こった。

 役員面接まで来ればもう内定は決まったようなものなので前祝いをしようという高橋氏の誘いを斉藤さんは受ける。そこで「部屋に来ないか。試してみる?」と言われ、関係をもった。

 その後、内定は決まったものの、高橋氏とは入社までの間に3、4回関係をもつことになる。その背景には、ここで誘いを断れば内定が取り消されるのではないかという恐怖がある。また、彼女は技術系の職種で指定校推薦枠を受けていたため、ここでトラブルを起こすことで大学の後輩に迷惑がかかるのではないかという心配もあった。

 こういった事情がある以上、斉藤さんが高橋氏の誘いを拒絶することは非常に難しい。「採用する」「採用される」の圧倒的な力関係が悪用されることで、こんな悲劇が起こってしまうのだ。

 これは大林組だけの問題ではないだろう。他のどの企業でも似たようなことは起こっているはずだ。

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