『セサミストリート』が教える「多様性」 外国人と「共生」するうえで、日本人が学ぶべきこと

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『セサミストリート』オフィシャルホームページより

 3月10日、『セサミストリート』を制作しているセサミワークショップが、「多様性とインクルージョン(包括)」をテーマにしたエピソード10本を、YouTubeの『セサミストリート』日本公式チャンネルにて、日本語吹き替え付きで公開すると発表した。

 そのシリーズ第1回となる「セサミストリートの感謝祭」はもうすでに公開されている。これは、「“伝統”への向き合い方」「相手の“文化”を尊重することの大切さ」といった、人生を生きるうえで是非とも身につけておきたい大切なものを学ぶことのできる、非常に示唆に富んだエピソードだった。

『セサミストリート』が教える「多様性」と「包括」

 このエピソードの舞台は「セサミストリートの感謝祭」というタイトル通り、感謝祭である。

 物語はまず、プレーリーが感謝祭のためにつくった歌をみんなで練習する場面から始まる。

 この稽古でロジータはギター伴奏を担当していたが、<ようこそみんな集まって/仲良くごちそう食べようよ/さつまいも/そして、七面鳥/かぼちゃおいしいよ/感謝祭のお祝いだ>という歌詞に疑問を抱く。

 メキシコ系のロジータにとって、感謝祭のごちそうといえば、タマーレ、フリホレス、モーレ、トルティーヤといったものだからだ。

 ロジータはプレーリーに対して、<他の食べ物も入れた方が良くない?>と提案し、上記のような自分の家で出てくる感謝祭のごちそうの具体名をあげるのだが、プレーリーは<感謝祭にそんなの食べたことない>と一蹴。そして、このように語るのであった。

<ウチでつくる感謝祭の伝統料理とは全然違う。伝統よ。みんなが昔からやってること。ウチの家族が感謝祭に食べるものは、七面鳥でしょ、さつまいも、それから、かぼちゃのパイ。おいしいのよ>

 ロジータの祖母・アブエラは、感謝祭のパーティーに持ち寄るために、モーレ、フリホレスのディップ、トルティーヤ、感謝祭のタマーレといった腕によりをかけた料理をロジータに渡してくれたが、プレーリーの発した「伝統」という言葉に気圧されてしまったロジータは、<プレーリーの言った通り、こんなのは感謝祭のごちそうじゃないよね、どこかに隠さなきゃ>と、せっかくのごちそうを廃棄する場所を探すべく街をさまよう。

 そんななか、ビッグバードに偶然出くわして声をかけられる。そこでお互いの料理を見せ合うことになるのだが、ビッグバードが持っていたのは、七面鳥でも、かぼちゃでも、さつまいもでもなく、おばあちゃんがいつも感謝祭につくってくれるシードケーキだった。

 自信満々にシードケーキを見せるビッグバードに対し、ロジータは意気消沈しながら<でも、(感謝祭で)食べるもの昔から決まってるんでしょ。プレーリーが言ってたよ>とつぶやく。しかし、ビッグバードは対照的に笑いながらこのように答えるのである。

<あぁ、伝統? ははは。あのね、おウチによって、感謝祭をお祝いする伝統は色々違うの。僕のウチはおいしいバードシードケーキを食べるんだ。鳥が大好きな種。あははは>

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