「とにかく遠くまで列車に乗るか、あるいは何度も途中下車をするか。このどちらかに当てはまるような旅をするなら、18きっぷはおトクです。
東京駅を始発で出発すれば、西は福岡県の小倉駅、北は青森駅まで1日で到着できます。大阪駅を起点に東へ向かった場合は、宮城県の仙台駅までは辿り着けます。通常でしたら1万円以上する運賃が、18きっぷだと2370円で済んでしまうということですね。
一方、18きっぷには途中下車しても初乗り運賃がかからないというメリットもあります。たとえば静岡県の熱海や伊豆あたりで温泉に入ったり、おいしいものを食べたりして、そこから沼津、御殿場に寄り道して日帰りするというルートなどはオススメです。近距離の移動であっても、列車を何度も乗り降りすることでおトクになるのです」(鎌倉氏)
ちなみに観光をメイン目的とした場合は、関西エリアが、18きっぷの恩恵を受けやすいのではないかとのことだ。
「関西の場合は日本海側にカニを食べに行ったり、和歌山の白浜にパンダを見に行ったり、香川にさぬきうどんを食べに行ったり……と、1日でアクセスできる適度な範囲に、観光地が点在しています。ほかには金沢や飛騨高山、出雲大社あたりも候補になるでしょう。
そして関西には、新快速をはじめとした快速列車が多く走っていますので、より遠くまで足を運びやすいというメリットもあります。さらに、普通列車に乗ったとしてもクロスシートで快適な車両が多く、そこも旅人にとっては嬉しいポイントでしょう」(鎌倉氏)
途中で有料列車に乗って“ワープ”する裏技も!?
18きっぷ愛用者の口からよく漏れるのが、東京都から出発して静岡県を横断する際、距離の長さや駅数の多さに絶望したというエピソードだ。熱海駅から浜松駅まで乗り換えナシで行こうとすると、約2時間半で33駅を通過しなければならない。この抜き差しならぬ大問題について、鎌倉氏はいったいどう捉えるのか。
「私個人としては絶望するほどではないと思いますが……。東京から大阪へ、または大阪から東京へ向かうときは浜松がだいたいの中間地点になり、列車の旅にも飽きてくるというのは“あるある”でしょうね。浜松や静岡のような大きい駅で途中下車し、駅ナカのご当地グルメなどを満喫すると、ほどよくメリハリが効いてくるのではないでしょうか。どうしても先を急ぐ場合は、居眠りをして乗り切るのも一手ですが……。“旅行”は“移動”ではないので、せっかくなら楽しんだほうがおトクでしょう。
移動距離が500kmを超えると心身ともにしんどくなりやすいので、18きっぷは東京~大阪くらいの距離で使うのがちょうどいいのではないでしょうか。これなら1~2時間程度の途中休憩を挟んでも、まだその日のうちに到着できる余裕があります。ただ大前提として、列車が時刻表どおりに走ってくれる保証はありません。何らかの理由で列車が遅れることは、本当によくある話です。
私も実際、冬に新潟県の越後湯沢駅まで行ったはいいものの、猛吹雪で列車が不通になってしまったことがありました……。不測の事態に陥っても、JRさんは18きっぷの払い戻しをしてくれることもなければ、宿を用意してくれることもありません。
ですから、悪天候のときは極力避けるのは当然のこと、ハプニングさえ楽しむという気持ちでいるといいでしょう(笑)」(鎌倉氏)