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2020大統領選はもう始まっている~ヒラリー不出馬、バイデン元副大統領、スタバ元CEO

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 昨年の大みそかにエリザベス・ウォーレン上院議員が2020大統領選への立候補を表明し、早くも2カ月半が経つ。その間に民主党からの大統領選出馬者が続々名乗りを上げた。3月10日の時点ですでに12名と、かつてない混戦状態となっている。

 今回の出馬者の顔ぶれは非常にユニークだ。歴代45人の大統領はオバマ前大統領を除く全員が白人男性で、かつ異性愛者のキリスト教徒だった。しかし今回は女性5人に加えて黒人、インド系、ラティーノ、ユダヤ系、南太平洋系、そしてゲイ。さらに30代、40代の若手もいる。数少ない白人男性の出馬者に対し、ジャーナリストが「マイノリティではありませんが、大丈夫ですか?」と質問する事態となっている。

 今回は主だった出馬者の動向をリポートする。

24時間で60万ドルを集めた「ピート市長」

 3月10日、CNNは「ピート市長」ことピート・ブートジェジのタウンホール・ミーティングを放映した。会場に招かれた一般有権者からの質問に、出馬者がその場で回答する形式の集会だ。このミーティングは多くの視聴者を強く惹きつけ、ブートジェジは放映後24時間で60万ドルもの寄付を集めた。

 米国大統領選は2年近い長期戦、かつ高額なテレビCM放映も必須であることから大量の資金が必要となる。富裕層からの大口寄付、一般市民(*)からの小口寄付を合わせ、集まった寄付金の総額が当選を占う材料にすらなる。ゆえに市民は支持する候補者に額の多少を問わず、寄付をおこなう。

(*)投票権は米国市民権保持者(=米国籍者)のみが持つが、政治献金は永住権保持者(=外国籍者)もおこなえる

 ブートジェジは経済的に傾いた工業都市、インディアナ州サウス・ベンド市の立て直しに取り組んでいる市長だ。まだ37歳と若く、当選すれば史上最年少の大統領となる。タウンホール・ミーティングでは国会議員の経験を持たないこと、極度に若いことが質問されたが、ブートジェジはそれらがまったく不利にならないことを、誰もが納得できる言葉で語った。

 冷静な観察眼と分析力に基づく考えを、真摯な人柄が表れた穏やかな語り口調で表せるのは、大統領候補として非常に有利な才能だ。加えてアメリカの政治家に必須のユーモアもある。ミーティングの冒頭、「夫と自分で姓Buttigiegの発音が違う」と会場を笑わせたが、これも賢明な計算だ。ゲイであること、同性婚者であることをサラリと口にし、かつ有権者に覚えてもらいにくい苗字をあえて強調して自分の特徴としたのだった。LGBTQについての質問も出たが、これもスムーズにこなした。

 ブートジェジの登場は2008大統領選時のバラク・オバマを思わせる。オバマは優れた政治家、人格者であり、非黒人の支持者にとっては「人種は関係なく、もっとも大統領にふさわしい候補者」だった。黒人を含むマイノリティ支持者にとっては「これまで日の当たる場所に出られなかった自分たちを堂々とリプレゼントする存在」でもあった。LGBTQにとってのブートジェジは、まさにそうした存在なのである。

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■ピート・ブートジェジ(民主党)
現職:サウス・ベンド市長(インディアナ州)
前職:マネジメント・コンサルティング企業勤務
人種民族:母:アメリカ白人/父:マルタ移民
性別:男性
年齢:37歳
最終学歴:ハーヴァード大学
宗教:キリスト教徒
公式サイト:https://www.peteforamerica.com/

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ウェジー 2019.02.07

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