ところが2009年のある日。がん細胞を光らせるために近赤外線を照射したところ、がん細胞が次々と死滅してしまったのだ。それも、まるで風船が破裂するようにして死んでいく。これが光免疫療法の研究を始めるきっかけとなった。
そして日本でも、今年2月21日に、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)が食道がんを対象にして、光免疫療法の臨床試験(治験)を始めることを発表した。同病院ではすでに頭頸部がんを対象とした光免疫療法の治験を行っていた。
今回の治験では、従来の治療で効果が出ていない患者数人程度を対象とし、主に安全性を確認することが目的だ。内視鏡を使って体の内側から光を当てる手法を試すこの治験は、大腸がんや胃がんといった内臓に発症したがんへの応用への先駆けとなる。