ゲームと遊技機器の2本柱停滞で欠損
そのセガサミーホールディングスは、2019年3月期で欠損に転落する見通しとなっている。パチンコ機・パチスロ機など遊技機器部門の不振に加え、デジタルゲームも停滞している。売上高が従来予想(期初予想)を530億円下回る見通しとなったことに加え、デジタルゲーム分野で減損損失を61億800万円計上する。従来予想は120億円の黒字見込みで、対前期比でも増益だったが、一転して最終で15億円の欠損に転落する見通しとなっている。
全体として、セガが手がけるゲームの市場はスマホゲームの普及により市場環境が厳しい。セガもスマホなどモバイルゲームは手がけてはいるが、スマホゲームの市場はさらに多くの競合がいる。PCゲームのセガの優位性が必ずしも生かせる環境にはない。サミーのパチスロなど遊技機器市場はさらに厳しい。遊技機器市場は一部のヘビーユーザーに支えられている状況が続く。風営法の改正により、足元では新基準に移行するための過渡期を迎えている。中期的にも、短期的にも見通しが立てにくい。
こうしたなかでセガサミーホールディングスは、静かに新たな事業展開を図っている。それはカジノなどリゾート事業である。
カジノ、リゾート事業への展開
リゾート事業では、2017年4月から韓国初の統合型リゾート「パラダイスシティ」をオープンさせている。同施設はセガサミーの連結対象とはなっていないが、この施設内ではカジノも運営されている。
また2017年12月には米国ネバダ州での業務用ゲーミング機器の製造・販売におけるライセンスの許認可を取得した。それ以前にも、フィリピンでゲーミング機器販売の許認可を受けていたが、世界的にも最大の市場規模がある米国ネバダ州でのゲーミング機器認可取得を受けた意味は大きい。いずれもこれらは、カジノ事業をにらんでの動きとみられている。
家庭用ゲームのセガは、パチスロのサミーと経営統合、現在はゲームと遊技機器が大きな2本柱だが、何年か後にはカジノを運営するリゾート施設とカジノの機器を手がける事業が主力になっているかもしれない。
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