
「Getty Images」より
外食チェーンの大戸屋が3月12日に一部店舗を除いて一斉休業し、従業員の再教育と店舗清掃を行ったことが話題になりました。同時に、業績の下方修正や役員報酬の減額も発表されました。
このように飲食店などで従業員が撮影した不適切な動画や画像がSNSに投稿されて炎上する事件は、かつては「バカッター」、昨今では「バイトテロ」などと呼ばれ、収まる気配がありません。
私自身、とあるコンビニチェーンで店長を経験したことがありますし、友人知人にも飲食店を経営しているオーナーが多いため、この問題は他人事とは思えません。
「バイトテロ」が起こる理由
今回の大戸屋の対応は、対外的のみならず、特に社員や従業員に対し、「オレたちは本気だ」という意思を表示したことで大変大きな意味があったように感じます。しかし、多くの店舗はここまでの対応をすることは難しいでしょう。そして、店舗側やオーナーが、このような事件が起こるのを防げるかといえば、やはり「難しい」と思われます。
そもそも、なぜ一部の従業員はこのような不適切画像をアップするのか。まず自己肯定感の低い若者特有の承認欲求の強さが挙げられます。
適度な承認欲求は誰でも持つものですが、それが強すぎると、とにかく「目立てばよい」「面白がってもらえれば認められる」という発想になります。なので、方法は何でもよいのですが、ふざけた内容のほうがウケるわけです。
手軽にウケることが重要なので、善悪とかその行為をしたあとどうなるかという想像力が欠如してしまいます。
また、ネットリテラシーも未熟です。「見ているのは仲間内だけ」という甘い認識で、そのなかの誰かが拡散してしまうかもしれないというリスクが想定できないのです。
本来はそうではない成熟した人材を雇うのがベストですが、外食産業はどこも人手不足。企業の正社員選考のようにじっくり面接をする時間もないし、シフトを埋めるには人材の質にこだわっていられないという事情もあるでしょう。
また、今はインターシップなど将来に役立つアルバイトや、もっと時給や給与の高い仕事もありますから、外食産業は一般的に採用のハードルを低くせざるを得ません。
では、給与など待遇を改善すれば高品質の人材が来るかというと、ほとんどの企業・店舗にそこまでの経済的余裕はない。待遇アップの分を価格に転嫁できればよいですが、それで来客数が落ち込めば本末転倒ですから、それも難しいわけです。
もちろん、接客の仕事が好きだとか、料理が得意などといった理由で積極的に外食産業を選ぶ人もいますが、そういう志がなく「なんの専門性も経験もなくても手軽に働けてサクッと稼げる」という理由で選ぶ人も少なくないでしょう。
それに今は、働く側も「辞めても別のところで働けばいい」という気楽さがあるように感じます。オーナーや店長サイドも、「シフトに融通がきくから、まあいっか」などと妥協して採用しがちです。これは私自身も経験したことです。
そこで、もし私が店長ならどうするか……という視点で考えてみました。