児童相談所の根本的な組織変革とは 専門性、第三者チェック、警察との連携を

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児童福祉司の育成が問題解決の鍵

山脇 しかし、構造を変えるなど、児相を具体的にどう変えていこうという話になると、国は人手を増やすという話にしかなりません。

――昨年、政府は2022年度までに児童福祉司を2020人程度にまで増やすと発表しました。人を増やすだけでは改善は難しい?

山脇 これだけの人数を増やすということが出来るのかがまず疑問です。児童相談所で働きたい人が少なくて困っている現状があるのです。さらに、児童虐待の知識もなく、相談経験もない、子供の発達についてもわからない児童福祉司が増えても、解決にはなりません。非常勤とか任期付きで、肩書だけ公務員にして、数だけ集めて何になるのでしょうか。

児相で新しい職員を採用するのであれば、最低でも1年ほど、子供の発達や心理、親との面接スキルなどの育成プログラムを組んで、それを終了した人だけ児童福祉司として働くという制度を作るべきです。国税専門官や家庭裁判所調査官と一緒です。

また、本来であれば採用も「公務員のいち異動先」ではなく、希望者を採用すべきですよね。勉強する気持ちがある人を採用して欲しいです。

――国税専門官や家庭裁判所調査官と同じ公務員でも、どうして児相は職員を教育する制度がないのでしょうか。

山脇 やっぱり児童虐待が軽視されてきたことが背景にありますよね。どうして国が子供にお金をかけないのか私には全然理解できません。こんな状況のまま人だけを増やしてもどうにもなりません。児相は根本から変えていく必要があります。

各自治体が頑張って児童福祉司を育成する、という方法もあります。入って1年目の職員は先輩に張り付いて回り、成功も失敗もすべて体験させれば少しはいいのではないでしょうか。

児童相談所の横のつながりを作る

――子供を親元に帰した後、虐待の再発を防止するためにはどのような改善が必要でしょうか。

山脇 第一に、学校や幼稚園の先生などを含めて、関係者会議を定期的に開くことです。しかし、地域によってはそれが徹底されていないところもあります。東京はおそらく徹底されていると思うので、上手く回っている地域のやり方をもっとマニュアル化して共有すべきですね。

――各地域の児相の横のつながりはあるのでしょうか。

山脇 全国の児童相談所所長会などはありますが、児童相談所同士の連携は今はありません。

――それでは転居によって情報が埋もれてしまう。

山脇 全国の児童相談所の情報を見ることが出来るシステムを作れば、転居しても過去の履歴を全部見ることが出来ます。今は、電話での引継ぎや書類の郵送しか方法がなく、虐待の程度が伝わらない場合があります。

そして、全国の児童相談所が、うまく行っているやり方や、失敗した事例などを共有する必要はあります。もっと横のつながりを持って、各自治体のやり方を共有したほうがよいと思います。

また、ひとつの自治体のなかでも事例を共有し、振り返りをして欲しいです。どこで失敗をしたのか、どうすればよかったのかなど、事例を詳しく1冊の本にまとめ、全職員が読めるようにするだけでも、次の案件に活かせるはずです。

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