ピエール瀧は「シャブ山シャブ子」だったか? 薬物依存症者の「リアル」はリアルじゃない

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 日本は違法薬物に関して比較的クリーンな環境が保たれており、国民の大半は薬物依存症者と出会うことなく生涯を終えるにもかかわらず、多くの人が「シャブ山シャブ子」にリアリティを感じてしまったことについて、松本氏は啓発キャンペーンや薬物乱用防止教室の影響を挙げている。

 啓発キャンペーンでは「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」というキャッチコピーが使われ、薬物依存症者は「ゾンビ」のように描かれている。それらが人々に偏見を植え付けることにつながり、結果、薬物依存症者のリハビリ施設の建設では各地で地域住民の反対運動が起きているという。確かに、薬物依存症者を「ゾンビ」のような人たちの集まりだと思い込んでいれば、恐怖を覚えるだろう。しかしそれは実態と乖離しているのだ。

「ピエール瀧は実は“常人”ではなかった」という報道

 また、テレビや週刊誌における薬物依存症者への報道も、視聴者に誤解を招かせ、偏見を植え付ける要素を孕んでいる。ピエール瀧の逮捕についてワイドショーでは連日のように報道しているが、今月16日放送の『ウェークアップ!ぷらす』(日本テレビ系)では、ジャーナリストの田崎史郎氏が<2、3年前にちょっとした調子にたまたまやってこうなったのかなと思ってたんですけど、もう20代からやってるってあれでしょ。だから、悪らつ性っていうか、非常に悪い印象を持ちますよね>と、瀧容疑者の二面性を指摘した。

 また、「週刊文春」(文藝春秋)2019年3月28日号では、瀧容疑者は“変態マゾ性癖”の持ち主だと報道した。この報道も薬物依存者は“常人ではない”という偏見が根底にあってのことだと考えられる。

 無論、「違法薬物」は反社会的勢力の資金源になっており、違法である以上、全く許容できるものではない。しかし、薬物依存症患者に偏見の目を向け責めるばかりでは、薬物の問題は何も解決しない。依存症からの脱却に必要なのは、バッシングと偏見ではなく適切な治療と更生プログラムだ。

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