主力候補者ベト・オルーク、ついに出馬表明
2020大統領選への出馬表明はまだ続いている。先週はついにベト・オルーク(元下院議員、テキサス州)が名乗りを上げた。昨年11月の中間選挙で上院選に臨み、現役議員のテッド・クルーズ(共和党)に僅差で敗れ、大きな注目を集めた「新星」だ。
クルーズは2016大統領選にも出馬していた。共和党予備選でトランプに敗れているが、共和党地盤のテキサス州では手堅い支持層を維持していた。だが、大統領選時にクルーズが他の候補者を非難する際の物言いや態度はよく言えば「巧妙」、時に「小狡い」と言われ、民主党支持者には至ってウケが悪い議員だ。
そのクルーズに挑んだのが、「J.F.ケネディ・スマイル」と呼ばれる笑顔を持つ、爽やかな青年風のオルークだ。現在46歳のオルークはかつてパンクロック・バンドで全米ツアーを行い、現在もスケートボードを楽しんでいる。選挙戦中はスタッフを連れず、一人で車を運転し、州内を回っていた。オルークのユニークさ、フレッシュさにテキサス州民のみならず、全米が夢中になった。
結果的に上院選に敗れたオルークだが、オルーク本人のアメリカ再生への情熱と有権者からの人気は衰えず、大統領選への立候補が強く望まれていたのだ。
満を持して出馬表明をおこなったオルークは、表明から24時間で、なんと600万ドルもの寄付を集めた。前回の記事でピート市長ことピート・ブートジェジ候補がCNN主催のタウンホール・ミーティングで視聴者から高い好感度を得、放映後の24時間で60万ドルの寄付を集めたと書いた。オルークはその10倍を集めてしまったのだ。
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政策は皆保険の実現、ビザ無し移民の滞在合法化、司法システムの人種不均等是正など、一般市民の生活向上策が多い。ただし、際立った政策がなく、かつどれも表層的で詳細が伴っていないという辛口の批評もある。
これも前回の記事に書いたように、女性や人種民族マイノリティが大挙して立候補している今回、白人男性候補は自身がマジョリティであることに慎重にならざるを得ない。オルークはパートナーとなる副大統領候補は女性を選ぶと宣言している。
ベト・オルーク立候補表明ビデオ
ハッカー青年は大統領になれるか
どんな人物にも過去はある。政治家として出馬すれば、過去は必ず掘り起こされる。オルークも早速、「米国最古のハッカー集団のメンバー」だったことが報じられた。地元テキサス州での高校生時代、ハッカー・グループ「ザ・カルト・オブ・デッド・カウ」のメンバーだったと、本人も認めている。
当時、ダイヤル・トーンのインターネットに終日アクセスすると、電話料金が膨大になっていた。オルークたちは他人のクレジットカード番号をハックして電話料金を支払っていたとされている。当時のメンバーたちは、オルークが市会議員に立候補した時点でオルークがメンバーだったことを明かさない約束をしたとある。
30年近くも昔のことであり、クレジットカードから盗んだ金額や、当時のオルークの年齢によっては不起訴、もしくは軽罪に当たることもあり、支持者はほとんど気にしていない様相だ。だが、もしオルークが予備選を勝った場合、共和党の候補者(トランプ、もしくはトランプを予備選で負かした候補者)からは必ず攻撃されるだろう。
ちなみにオルークの出馬についてコメントを求められたトランプは、オルークの政策には一切触れず、オルークを「クレイジー」と呼んだ。オルークは話す際に両手を激しく動かすクセがあり、それを指してのことだ。
「あんなに激しい手の動きは見たことがない。彼は頭がおかしいのか、それとも単にああいうふうなのか?」
メディアや視聴者が「おまえが言うな」とツッコミを入れたのは言うまでもない。トランプこそ、演説時の意味不明な手の動きが散々ジョークのネタにされてきたのである。だが、なによりの問題は現役の大統領が、自分が選挙で対峙する可能性のある政治家について何も語れず、罵倒しかできないことである。
■ベト・オルーク(民主党)
現職:なし
前職:下院議員(テキサス州)
人種民族:白人
性別:男性
年齢:46歳
最終学歴:コロンビア大学
宗教:キリスト教(カトリック)
公式サイト:https://betoorourke.com/
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