イチローとGENKINGとバイトテロの承認欲求は何が違うのか? 

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信頼と評価を手放さなかったGENKING

 タレントのGENKINGさんは、承認欲求が強すぎるあまり借金1000万円を抱える辛酸をなめた。インスタグラムにシャネルやロレックスなどの写真をシェアする手法で注目を集めるも、私生活はローン地獄。「一度勝ち取った信頼と評価を手放したくない」「いいねをしてくれるフォロワーの期待を裏切りたくない」という思いは、典型的な承認欲求の現れだ。そのためなら借金を作って安全の欲求を犠牲にするのもいとわなかったのだろう。その後GENKINGさんは芸能界デビューし、1年後には借金を完済できたという。

 欲求が生きるエネルギーにもなれば、私生活を崩壊させることもある。偉人ではない我々が自分らしい人生を送るには、欲求と上手に向き合い、適度にコントロールする術を身につけなければならない。

アドラー心理学から学ぶ、承認欲求を解消する方法

 何か目立つことをすれば、インターネット上で一躍人気者になれる時代。バイトテロを起こした従業員も、SNSで反響がほしかったのだろう。そんなSNS隆盛の現代社会において、いかに承認欲求をコントロール、もしくは解消するかが重要だ。

 そこで注目したいのが、アドラー心理学である。精神科医で心理学者でもあるアドラーは、「人は承認欲求をなくすことで、自分の人生を生きられる」と教える。

 承認欲求を解消するために重要なのが、「課題の分離」である。これはアドラー心理学の中心的な考えで、「他者の課題に自己は介入すべきではない」というものだ。

 先のGENKINGさんの例を参考に考えてみよう。GENKINGさんの投稿内容に期待するのは、周囲のユーザーやフォロワーの課題であって、GENKINGさんの課題ではない。かりにGENKINGさんの投稿内容を「いまいちだな」と思いリアクションしなかったとしても、それはフォロワーの課題であってGENKINGさんの課題にはならないのだ。

 他人の行動や評価はどこまでも他人の課題であり、自己の課題とは切り離して考えなければならない。この分離作業によって、人ははじめて承認欲求の呪縛から解放され、自分自身の人生を歩めるというわけだ。

 他人の課題を自己から切り離すには、他人に嫌われる勇気が必要である、とアドラーは説く。ゆえにアドラー心理学は「勇気の心理学」ともいわれる。

 嫌われるといっても、敵対関係になれという意味ではない。あくまで他者と自己の課題を明確に分けるだけに過ぎない。そのためには自己を受け入れ、他者を信頼し、仲間だと思うことで、「自分以外の、他人の役に立てるよう働く」という“他者貢献”の発想も生まれるのだ。

 他者貢献では何も特別なことをする必要はなく、自分の役割を忠実にこなせばよい。飲食店のアルバイトであれば、厨房で調理したり、食器を洗ったり、床掃除をしたり、通常の業務をこなすだけでよいのだ。日々の仕事を頑張ることで、お店や店長、職場全体、ひいてはお客にも貢献できている、という発想を持つようにする。

 他人はそれを評価しなくても、自分の働きを自分自身で評価すれば、それは立派な他者貢献になる、とアドラーの「勇気の心理学」は教えてくれる。

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