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山崎育三郎主演、ドラァグクイーンミュージカルの傑作「プリシラ」をいま観るべき理由

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 ドラァグクイーンとは、主に男性の同性愛者で過剰なメイクとドレスなどのゴージャスな衣裳で女装した派手なパフォーマーのこと。マドンナなどディーバの曲にあわせたリップシンク(口パク)といった表現で、クラブシーンなどに華を添える存在です。「プリシラ」の原作は、舞台であるオーストラリアで1994年に生まれた映画。ドラァグクイーンたちの華やかな装いでアカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞しており、ドラァグクイーンの存在の認知にはこの映画が大きな影響を及ぼしました。

 ミュージカル版は2006年にシドニーで初演され、09年にイギリスのウエストエンド、11年にはブロードウェイと世界各国で上演。日本では2016年12月に宮本亜門の演出、山崎育三郎主演で初演され、今回の再演でも続投しています。

往年のヒット・チューンと共に

 ミュージカルは、登場人物の心情などをオリジナルの楽曲にのせて表現しますが、「プリシラ」で歌われる曲は、1970~80年代にヒットした既存の音楽。こうした既存の曲を使用するミュージカルを「ジュークボックスミュージカル」と呼びますが、「プリシラ」では、当時のゲイカルチャーからも強く支持されたディスコミュージックが使用されており、ミュージカル版では映画版からさらに曲が追加されています。耳なじみのある曲が大半のため、日本語版の訳詞は、Wink「淋しい熱帯魚」や、テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」などの作詞で知られる及川眠子、また翻訳は、著名ドラァグクイーンのエスムラルダが手掛けています。

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ウェジー 2019.01.12

 プリシラ号での出発の際に歌われるのは、ヴィレッジ・ピープル「ゴーウエスト」。陽気なアダムとティックはマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」を踊りながらショーの構想を練りますが、トラディショナルにリップシンクを至上とするバーナデットと、自身の実力に自信がありナマ歌パフォーマンスをしたいアダムがケンカになったりも。立ち寄った街では、プリシラ号に「オカマ死ね」といたずら書きされるいやがらせや、バスの故障などのトラブルにも見舞われます。

「『ゲイ』って、楽しむって意味でしょ!」というアダムの発案で、プリシラ号はいたずら書きの上から、虹色に塗装されます。オリジナルのシドニー版ではピンク色なのですが、これは日本版独自の演出。このレインボーカラーは、いわずもがなLGBTQの象徴です。シンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」やグロリア・ゲイナー「恋のサバイバル」とともに、旅が進んでいきます。

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