日本アニメ産業への中国・アメリカ資本投入は危機か? 希望か?

【この記事のキーワード】

外資の参入によりクリエイターのブラック労働は改善されるか?

 中国にせよ、アメリカにせよ、海外の資本が入ることで日本のアニメ業界は大きく変わることを余儀なくされるだろう。人材の流出を危惧する声もあがっているが、その可能性も十分にある。

 ただ、これはアニメーターにとって悪いことばかりではないだろう。

 日本のアニメ制作の現場において過酷なブラック労働が横行していることはよく知られている。

 「製作委員会方式」がメインの日本のシステムでは出資者ばかりに利益がまわり、末端のクリエイターまで利益が行き届かない仕組みが続いてきた。これまではそういった状況をDVDなどのパッケージ収入が埋めていたのだが、そのビジネスが崩壊して久しく、さらに厳しい環境になっている。

 庵野秀明監督は2015年に受けたインタビューで<アニメ制作のシステムについて、あと5年くらいで寿命がくる>と語ったことがあるが、その言葉は現実のものとなり始めていると言えるかもしれない。

 それは外資の力で変わる可能性がある。

 中国が日本のアニメーターに良い労働環境を提供しようとするのも、Netflixが潤沢な予算を用意して日本のアニメ制作会社と手を組もうとするのも、日本のアニメをつくる人材には確かな経験と知見があり、それがひとつの文化として完成されたもので、グローバルに受け入れられる大きな可能性をもったものだからだ。

 しかし、これまでの日本は、そういった素晴らしい作品を生み出すクリエイターにきちんとした環境を与えることができてこなかった。才能と技術を持ちつつも、あまりに過酷な生活に耐えかねてアニメ業界から去らざるを得なかった人も多かったことだろう。

 中国やアメリカから資本が流れることで、そういった状況が改善されるかもしれない。それはとても喜ばしいことである。

 ただ、悲しいのは、日本のアニメ産業の重要性を認め、その文化の担い手にきちんとした報酬を渡し、グローバルな展開を担うのが中国やアメリカの企業であって、「クールジャパン」なる言葉を喧伝して止まない日本政府ではなかった、ということである。

1 2

あなたにオススメ

「日本アニメ産業への中国・アメリカ資本投入は危機か? 希望か?」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。