
「Getty Images」より
生きている限りストレスを避けることはできない。でも、そこそこの幸せを感じつつストレスを軽減しながら生きることはできる−−。最近感じるのは、「生き方の自由が広がっている」ということです。「ワークライフバランス」という言葉が広まり、働き方にも自由度を持てるようになってきました。いいことだと思います。いまだに頭を切り替えられない年配者も少なくはないけれど、人のことは気にしないで、さらに言うなら昭和的価値観は忘れて、自分なりの「正解」を見つけていけばいいと思います。
この連載では、自分が幸せだと思える生き方、働き方をするためのちょっとした情報と知識や知恵をお伝えしていきたいと思います。筆者はファイナンシャルプランナーなので、幸福度を高めるための心構えや夢や希望の叶え方という精神論ではなく、いわば、人生のお金のバランスシート的な話ができたらと思っています。
年収が高ければ幸せ?
まず、「幸せって何?」ということですが、あなたなら何と答えますか? 収入が1000万円以上あれば幸せなのか。恐らく人生そんなに単純なものではないでしょう。
実は、平成29年度の民間給与実態統計調査(国税庁)によりますと、給与所得者の年間の平均給与は432万円です。この年収400万円というのは、極めて平均的な数字です。
少し前の有名な話なのでご存じの人も多いと思いますが、ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授が、「世帯年収が7万5,000ドル以下の人は収入が上がるに比例して「喜び」や「満足感」などの幸福度が増幅するが、この金額を超えると幸福度は増幅しない」という調査結果を発表しました。現在(3月末)の日本円に換算すると、年収約824万円がボーダーラインになるといいます。それに倣えば、年収400万円の人は、収入が上がるにつれて「幸福感」は逓増していくことになります。
また、慶應義塾大学大学院の前野隆司氏によると、お金やモノや地位など、他人と比べられる財を得たことによる幸せは長続きしない幸せだといいます。これらは足りないと心配なので、人はまずそれらを求める。増えると幸せになりますが、ある程度満たされればそれ以上は幸せを感じないそうです。
しかし、「友人関係」や「休日の充実度」などは相対比較とは無関係に幸福感を得ることができる「非地位財」なので、幸福度は持続しやすいということです。
年収約824万円のボーダーラインはともかくとして、年収が多いよりも、人間関係や時間の使い方が充実しているほうが「幸福感」をキープできるという結果です。
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