ライフプランはお金だけでは立てられない
実は、ファイナンシャルプランニングを考える時も、「結婚」「出産育児」「教育」「住宅購入」「老後生活」などいわゆるライフイベントと呼ばれるものにいくら資金が必要なのかというお金の問題だけではなく、仕事をどうするか、スキルアップや人脈について、家族関係やプライベートの人間関係や体調やセルフイメージなどを総合的に考えます。硬い言い方をすると、それを踏まえて、お金の問題を超えて戦略的に人生の目標を設定します。
しかし、結論からいうと、この連載の立ち位置は、あくまで「人それぞれである」という姿勢です。つまり、お金や名誉のために働くことに喜びを感じる人もいるでしょうし、個人的な人間関係や趣味、娯楽に人生の大半を捧げて幸せを感じる人もいるでしょう。また、優先順位は年齢とともに変化するかもしれません。20代はめいっぱい遊び、30代はがむしゃらにキャリアップに励む。60代はゆっくり旅行を楽しみたいとか、まあ、なんだっていいわけです。
ですから、ファイナンシャルプランニングの目標は、「人生を、自分にとっていかに魅力的なものにするか」であるともいえます。ほかの言葉に置き換えるなら、「個人レベルでの生活の質を高める」とか、「満足のいくライフスタイルを送る」ということでしょうか。突き詰めれば、「自分の人生に達成感を得ること」となるかもしれません。どこまでやるか、どこで満足の線引きをするかはあなた次第ですし、もちろん路線の変更だっていつでもできます。
ただし、無理なものは無理であるので、非現実的な目標設定についてははっきりとダメ出しをしたいと思います。この連載を通して、たくさんの「年収400万円の幸福」を生み出せたらと思います。
あなたの10年後はどうなっている?
今回は、「私の重要度ランキング」を考えてみましょう。では質問です。
「あなたの10年後を想像してみてください。どんな生活を送っていれば幸せですか?」
「今の彼と結婚して子どもがいる毎日」を想像した人、「自由に世界中を旅している生活」を想像した人、「バリバリ仕事で活躍している自分」を思い浮かべた人、さまざまだと思います。いいですね。でも、もし「3億円の宝くじに当たって仕事を辞めて好きなことをしている」と思い描いた人は、少し思考を変える必要があります。なぜなら、宝くじに当たるかどうかは「運」であり、非常に不確実性が高いからです。つまり、投じたお金(宝くじを買った代金)は、株式に投資をするのとは違い、なんら実体としての裏づけのない偶然性にかけるものにすぎないのです。
投資で「ハイリスク・ハイリターン」という言葉があります。リスクというのは株価の変動のことです。株価の変動が大きいほど、リターン(収益率)も大きいということですが、宝くじは、「ハイリスク・ノーリターン」。リスクに見合うリターンを得ることはできません。よっぽど「運」のいい人がいるにはいますが、年末ジャンボ宝くじに当たる確率は1000万分の1ということですから、これを目標にする人生というはいかがなものでしょう。
もっと具体的に、人生において達成したいこと、経験したいこと、獲得したいこと、身につけたい知識や資格を考えてみてください。肉体的に感情的に精神的にどういう生活を送りたいのか、仕事にはどう取り組みたいのか、どう評価されたいのか。いつまで仕事をしたいのか。結婚はどうするのか、子どもはどうするのか。持つとすればその教育は。休日はどう過ごしたいのか、自分にとって快適な人生とはどういうものか、やりたいボランティア活動や寄付について、保ちたい生活の質、住みたい場所、家はどうするのかなど、ぜひ考えてみてください。
行き当たりばったりの人生もそれはそれで魅力的だとは思いますが、時間は有限ですから、なるべく早いうちに自分の人生について考える機会を持つことは、結構効果的です。パートナーのいる人はぜひ一緒に考えてみてください。
次回は、「モノの多い年収1000万円とシンプルライフの年収400万円」について幸福度を考察してみたいと思います。
1 2