転職経験が増えれば自動的に学習も増える
話が少しそれてしまったが、学習に消極的な日本人の環境を改善するにはどうすればよいのだろうか。これまで学習していない人に、いきなり学習を呼びかけても効果が薄いことは明らかである。
先ほどのリクルートの調査では、転職経験と学習の継続についても分析しているが、転職経験のない人が学びを継続する確率は、転職経験が2回ある人と比較すると4%低いという結果が出ている。また転職経験が3回以上になると一気に継続する確率が上昇することも分かっている。
つまり転職経験が多いほど、新しい環境に適用するため、学びを継続する確率が高いということになる。
一般的に雇用の流動性は高いほうが生産性が高まるといわれているが、調査結果はこうした仮説を裏づけている。筆者はいつもこの話をしているのだが、同じメンバーが顔を突き合わせて、何十年も同じ仕事をしていれば、どれだけ優秀な人材でも確実にマンネリ化してくる。
もっと気軽に転職できる雇用システムになれば、特に意識しなくても学習する機会が増え、確実に日本の生産性を向上させるだろう。転職すれば刺激も増えるので、メンタルにもよい影響を与える。雇用についてもっと柔軟に考えることができれば、一連の問題は大きく前進するはずだ。