
「Getty Images」より
さて4月がやってきた。社会人1年生もいるだろうし、新たな職場や新たな仲間たちとの出会いもあるだろう。
そこで必要なものが「謝罪力」だ。唐突に「謝る力」だと言われても意味がわからないだろう。まだこれを読んでいる時点で失敗をしたわけでもないのに「謝れ」と言われても理解できないはずだ。
ただ今後、未経験ゆえの失敗だってあるだろうし、想定外のアクシデントに遭遇してしまうことだってあるかもしれない。朝寝坊だってあり得る。電車の遅延も日常茶飯事だ。でもこれらは職場にとっては「単に遅刻した社員」と扱われるのだ。
遅刻したら言い訳無用の厳しい芸人の世界
私が以前勤めていた吉本興業では、約束の集合時間に間に合わなかった若手芸人は残念ながらダメな芸人として扱われる。時間通りに来ていればテレビの収録やイベントに滞りなく出演できたのに、寝坊であろうが、電車の遅延であろうが、その時間にいない芸人は出番を飛ばされ、仕事がなくなることもあった。
寝坊は言い訳できないが、電車の遅延は自分のせいではない。しかし現場のマネージャーにしてみれば、重要なのはその芸人が約束の時間に間に合っているかいないかだけなのだ。
冷たい言い方で恐縮だが、売れっ子芸人や会社の社長でもない限り、遅刻は許されない。ただ、そういう人は遅刻もしないから芸能界で売れたり、会社の社長になれたりしたのだともいえる。
吉本興業は遅れてきた若手芸人に対して、本当に冷たかった。「電車が遅れたの、残念やね。運のある人は遅れないような時間に家を出たりして間に合うもんなんや。なかには前日からのその集合場所の近くの友人宅に泊まっていた人もいるかもね?」などと言い放った。まぁそんな厳しいことは昔だったから言えたのだが……。それが現実なのだ。