連載

ひたすら辛い更年期症状を和らげる治療法があるのに、なぜ普及しないのか

【この記事のキーワード】
ひたすら辛い更年期症状を和らげる治療法があるのに、なぜ普及しないのかの画像1

向き合います。更年期世代の生と性

 「更年期世代の生と性」について、主に当事者インタビューを通して連載してきた。私自身も更年期世代だ。2017年4月より本格的にHRT(ホルモン補充療法)をスタートしてから、2年が経った。

 HRTという治療法に関するネットの情報は、誤解や偏見に基づいたものも少なくなく、そのメリットはあまり知られていない。そもそも更年期症状に苦しんでいるのに、HRTにたどり着かず、ひたすら耐えている女性も多いのだ。

 今回は「HRTに期待されるメリット」「なぜHRTは普及しないのか」などを、実際にHRTを行うクリニックの医師の元を訪れてうかがってきた。

HRTに期待されるメリット

 まずはHRTに期待されるメリットを先にまとめておきたい。HRTを始めると、いったい私たちの体にどんな変化があるのだろうか。

・辛い更年期症状を和らげ、QOL(クオリティオブライフ・生活の質)を改善する。

・骨密度の増加と骨粗しょう症の予防。

・皮膚のコラーゲンやエラスチンを増やし、肌の張りや潤いを保つ。

・膣粘膜の乾燥を防ぐ効果があるので、性交痛が改善される。

・ホルモンには血管壁を柔軟にする役割がある。HRTでホルモンを補充することで、心臓血管系疾患のリスクを下げる。

・大腸がんのリスクを下げる。

・エストロゲンは泌尿生殖器全体を健康に保つ役割を担っている。閉経後はエストロゲン減少により尿漏れや膀胱炎に悩まされる女性が多くなるが、HRTによってそれらが改善される(ただし腹圧性尿失禁の場合はHRTが効かない)。

・脳の血流を増やすことで、認知症を予防。

・内臓脂肪の蓄積を抑える

 以上のような効果が、現在HRTに期待されるものである(ただし、効果には個人差がある)。

 更年期の辛い症状でいうと、ホットフラッシュや睡眠障害、うつ気分には特に大きな効果があるとされるHRT。そのほか、関節痛や指の強張りなどにも効果があったという声を、取材中はよく耳にしている。

 HRTを始めて2年。実際、私も指の強張りの改善にはHRTの効果を感じているひとりだ。HRTには約一週間の休薬期間があるのだが、休薬期間中の朝は目覚めた瞬間に手指の強張りを感じてしまう。だが、休薬期間が終わり再びホルモンを補充し始めると、強張りは収まってくれるのだ。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。