ひたすら辛い更年期症状を和らげる治療法があるのに、なぜ普及しないのか

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「若く見られたい」と「若々しく健康でいたい」は違う

――先日ある学会に出席したのですが、「女性ホルモンをプラスする治療だけが、なぜ不自然と言われるのか。それなら、手術に麻酔を使用することや、もっと極端にいえば冷房や暖房や携帯電話などの文明の利器を使うことも不自然と言わなければならないだろう」と話す婦人科の医師がいらっしゃいました。その話を聞いて、たしかにそうだなと。

 医学や化学の様々な進歩を受け入れ享受する我々なのに、なぜ女性ホルモンを補充するとなると「不自然」の言葉が出てしまうのか……。ひょっとするとそこには、「女性ホルモンをプラスする」=「いつまでも若くいたい」という気持ちだと解釈して、それを不自然だと判断し否定したいという考えが無意識のうちにあるんじゃないのかなと思うんです。実際、私はある産婦人科の男性医師にHRTについて相談をした際、「いつまでも若さにこだわりすぎじゃないか」というような発言をされたことがありますし。

「『若く見られたい』と『若くいたい』というのは違いますよね。私は、『いつまでも若く健康でいたい』と望む気持ちは大事なことだと思っています。見た目はさておき、体の中、つまり血管や骨が若いというのは長く生きる上でとても重要なことですから。

HRTは更年期特有の不快な症状を改善するほかに、長い目で見れば骨粗しょう症や動脈硬化、脳の血流がよくなることから認知症予防への効果も期待されています。予防目的の治療の場合は自費治療となりますが、それでも、いくつになっても自分の脚で元気に歩けてどこにでも行ける――そんな老後を目指すなら、やってみる価値はあると思います。

私は更年期世代に入るまでまだ数年ありますが、世代になったらすぐにHRTをスタートするつもりです。当クリニックでは、2週間だけ女性ホルモンのエストロゲンを体内に補充する「お試しHRT」も実施しています。お試しの場合、事前に検査は必要ありません。HRTは気になるけれど……と悩んでいる方は、まずこのお試しからチャレンジするというのも、ひとつの手。それで一切効果がなければ、サプリメントや漢方など、また違う方法を検討すればいいのです」

――HRTに理解のあるクリニックを探すのは困難な状況だというのが、残念ながら日本の婦人科の実情ですが、2020年には日本人女性の2人に1人が50歳以上になります。HRTだけに限らず、更年期世代の女性の悩みとじっくりと向き合うドクターとクリニックがもっと増えるよう、心から願っています。

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