みんなただの石ころだけど、すごくなくてもいいじゃない?/ヨシタケシンスケさんインタビュー

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日常のストレスをイラストメモにして

――そうしたヨシタケさんの“頭の中”を垣間見ることができるのが今回のエッセイですが、そもそもスケッチを始めたのは、絵本作家になる前なんですよね。

ヨシタケ:大学卒業後、半年間だけ会社員をしていた頃ですね。会社の人たちはすごくいい方々で、こちらが一方的に心を閉ざしていただけでしたが、会社が辛くてしょうがなくて。でも頑張らなきゃいけない……と、わかっているけど肌に合わない状態で。

 ストレスが募っていたある日、気づくとノートの端っこに、「課長、死ねばいいのに」と書いていました。あ! 俺、書いちゃってる! と、書いた後に気づいたくらい無意識に(笑)。

――ダダ漏れじゃないですか!

ヨシタケ:こちらは給料をいただいている身だし、もし見られたら申し訳ないじゃないですか。そこで、とっさに、「課長、死ねばいいのに」の横に、可愛い女の子のイラストを描いたんです。そうすることで、「この架空のOLが、架空の世界で上司を憎んでいる」という言い訳になるから。

 それからは、そういったことや、「自分が言われたらいやだな」と思うことを先に描いておいたり、もしくは「こんなことが起きたら面白いだろうに」ということを、絵と言葉のセットで描いたり。自分を励ましたり面白がらせたりするようになりました。

――それが退職後から今まで、ずっと続いているんですね。

ヨシタケ:「これは面白いな」と思ったのと、自分のストレスを描いて客観視すると、楽になれることがわかったので。

 僕のその行動に大きなテーマがあるとするなら、「どうすれば世界を楽しいものとして受け止められるか」ですかね。

 生きていると、楽しいことなんてそうそう起きないじゃないですか。そうすると、辛いことばかり描くはめになる。となると、「自分を盛り上げるために描く」という本来の目的が崩れてしまう。ならば、辛いときは、「こう考えれば面白くなるんじゃないか」と。

 それで今まで、一生懸命自分を騙くらかし続けてスケッチしてきましたが、今では面白いネタを出すための訓練のようになっています。

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