みんなただの石ころだけど、すごくなくてもいいじゃない?/ヨシタケシンスケさんインタビュー

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世の中の悪口を言いながら、そこそこ幸せに暮らすハッピーエンド

――仕事になってしまうと、「ネタを見つけなきゃ!」と、スランプに陥ることはないですか?

ヨシタケ:そうするとそれ自体がストレスになるので、またいっぱい描いていますね。

――習慣ってすごいですね。

ヨシタケ:本書にも、<世の中の悪口を言いながら、そこそこ幸せに暮らしましたとさ>というスケッチが出てきます。人間はどんなに恵まれていても、不満を感じて自分からストレスを見つけにいくんですよね。

 そのストレスがどうやって表れるのかは、たとえばテストの前日に部屋の掃除をしたくなったりするように、僕はいかんともし難い状況のときに、たくさん描くんです。逆に、幸せでストレスがないときは全然描きません。

 もしスランプがあるとするなら、自分が思う“面白さ”の幅ってあまり広くないじゃないですか。こんなに本を描かせてもらえるとは思っていなかったので、「どの本も似たような感じだな」と思ってきちゃっているのが、最近の悩みといえば悩みでしょうか。「俺、伸びしろねえなー!」って。

――「どれも似たような感じ」とは思いませんが、ヨシタケさんの描く本に共通点があるとするなら、“イマジン”という感じです。

ヨシタケ:ああ、それは僕が勉強嫌いだからですよ。誰かに取材したり、なにか新しいことを勉強したり、文字ばかりの本を読むのが好きじゃないので。空想なら、取材したり、資料を読み込んだりしなくていいから、それなら空想でいっちゃおう、と。

 それに空想は、怒られる筋合いがなくなるんですよ。取材や資料を元にすると、「これ、間違っていますよ」と、僕のミスとして怒られるじゃないですか。

 でも空想なら、「この箇所は、空想の男の子が考えたことなんでねえ。間違っているかもしれないけど、この子、小学生なんでねえ。すみませんけどもねえ」と、言い訳できるじゃないですか。僕は必ず、言い訳できる余地を残します。そうしないと、怖くて世に出せないですよ。

――確かに私たち取材する側は、間違えたら色んな人に怒られますね。

ヨシタケ:そうそう、だから「取材とかよくやるなあ」と思いますよ。

――逆に、「それはインタビュー相手が話したことであって、私たちの考えではない」と言えます(笑)。

ヨシタケ:それが、お互いに責任を分担できる“大人の世界”のいいところですよね。「僕はあんなこと言ってないけど、ライターさんが勝手に書いちゃってさあ」って、お互いのせいにできる。そうやってみんなで幸せになりましょうよ、という話です(笑)。

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新刊「思わず考えちゃう」より。それでいいですよね~って思わず共感しちゃう。

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