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ついに働き方改革スタート、現場からは早くも悲鳴「有給取得が実質的な給与の減額に」

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「Getty Images」より

 4月1日、新元号「令和」が発表され、世の中が湧き立つ中、「働き方改革」がスタートした。だが、すでに「働き方改革」では綻びが出始めている。果たして、働き方改革は正常に機能していくのであろうか。

 働き方改革の根幹となる主な新ルールを整理すると、①「年5日の有給休暇取得の義務化」②「残業時間の上限規制と月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げ」③「同一労働同一賃金―」だ。

 しかし、新年度がスタートしてまだ幾日も経たないなか、現場からはすでに悲鳴が聞こえてきている状況にある。

 まず、①「有給休暇取得の義務化」②「残業時間の上限規制」は、今回の規制の対象となる多くの企業では、すでに半年程度前から新規則への対応を始めているが、様々な問題を指摘する声が上がっており、すでに綻びが見え始めている。

 また、③「同一労働同一賃金」については、実現が難しいどころか、日本の労働環境にさらなる問題も呼びかねない。

 順を追って説明していこう。

①「5日の有給休暇取得の義務化」は……巧妙な抜け道に注意!

●新ルール

 有給休暇取得の義務化は、有給休暇の消化率が悪いとの批判を受け、これまでは従業員の年間有給消化がゼロでも、企業に対してペナルティは科せられなかった。ルールの改定により、パートやアルバイトを含めた全ての労働者を対象に、最低5日間の有給休暇を義務付けたもので、有給休暇の取得を認めない企業に対する罰則規定も強化された。

●現実と課題

 これに対し、現場の社員からは、「有給取得にあたって、土日の休日出勤をするように言われた」(商社)、「有給取得は実質的な給与の減額となっている」(メーカー)など、有給取得に対する企業側の違法性の強い対応が出ている。
 
 さらに巷では、これまで休日としていた年末年始や夏期休暇、祝日を「出勤日」に変更し、有給を消化させるように促すという“抜け道”を使う企業があるとの報告もあり、油断はならない。

②「残業時間の上限規制と割増賃金率の引き上げ」は……労働者の生活を脅かす?

●新ルール

 残業時間の上限規制と月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げでは、これまで原則として月45時間、年360時間を上限としていたが、事実上無制限で運用が行われていた残業時間について、臨時に特別な事情がある場合でも月100時間未満、年720時間以内に制限した。

 総務省の調べでは、週60時間以上働く人の割合(農林業を除く)は2018年時点で6.9%。政府はこれを5%以下にする目標を掲げている。有給休暇の取得と同様に、企業に対する罰則規定が強化されている。また、中小企業の残業規制には1年間の猶予が設けられ、2020年4月からの適用となっている。
 
●現実と課題

 この残業規制についても、現場からは「これまで、勤務体制には比較的に自由な社風だったが、新たにタイムカードが導入され、勤務時間を厳密に管理するようになった」(IT関連)と言った声に始まり、「人員が増員されないのも関わらず、残業が禁止されたことで、業務が滞っている」(メーカー)と言った業務への支障や、「残業ができなくなったため、仕事を自宅に持ち帰り、自宅で仕事をするようになった」(金融機関)といった私生活への影響も現れている。

 さらには、「基本給が上がらない中で、これまでは残業代が生活費の重要な部分を占めていたが、残業が出来なくなったことで、実質的に給与が減額になった」(メーカー)という所得への影響を指摘する声も聞こえてくる。

 今回の残業規制は大企業が先行してスタートしており、中小企業は1年後(2020年4月1日)のスタートとなるが、大企業の下請け企業からは、「大企業の残業削減により、外注が増加しており、仕事量が増加して残業が増えている」といった“本末転倒”の事例も出ている。

 ただ、一方では、こうした違法性の強い対応を行っている企業については、「ブラック企業もしくはブラック企業の近い体質を持った企業」の判断基準にもなるという、“思わぬ効果”もありそうだ。

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