
「Getty Images」より
胎内記憶提唱者の「神さま化」が止まらない! 胎内記憶とは、「母親のお腹のなかにいたときの記憶」のことですが、胎内記憶研究の第一人者である産婦人科医・池川明氏により、「お腹の中に入る前=空にいたときの記憶」やら「前世の記憶」などへ話が広げられ、「子どもは空の上からお母さんを選び、やってくる」なる設定も、すっかりポピュラーになっています。
もともとは「自分はこういう記憶を持っている」という、それぞれの体験談だったはず。ところがそこから、「多くの魂や赤ちゃんがこう語っているから、これが魂の世界の真理です」という説法に変質。声の大きいビリーバーたちが、まるで〈赤ちゃんや魂の代弁者〉のようになっていき、今や教祖様のようです。
ファンタジックな世界観で謳う「親子の絆」が暴力になるとき。胎内記憶の罪を医師が解き明かす
毒親が原因で鬱を発症し15年近く精神科へ通っている女性が、なんちゃってセラピストに傷をえぐられた――。前回のコラム「自称セラピストに転身した親…
子ども“教祖”の誕生
その胎内記憶教祖様のトップは言わずもがな、先述の池川明医師(当連載では毎度おなじみすぎてスミマセン)。開業しているクリニックのほうでは、2016年に出産の取り扱いを取りやめて現在は検診が中心のようですので「胎内記憶布教は、老後の道楽なのかな~」という気がしてきて、長年ウォッチングしていると飽きも手伝い胸糞な主張へのむかつきも徐々に薄れ気味だったのですが、ここにきて胎内記憶キッズ「すみれちゃん」が広告塔として祀り上げられているため、再度見逃せない物件となりました。
すみれちゃん、とは胎内記憶ドキュメンタリー『かみさまとのやくそく』に登場したことをきっかけに注目された、小学生女子。この作品は2014年の公開後、「監督への、撮影終了後からの不信感」を理由に、〈たいわ(胎話)士〉なる肩書を持つ南山みどり氏が出演シーンのカットを要求し、2016年にリニューアル。パンフレットは、南山氏がコメントを寄せているページがまるっとすみれちゃんバージョンに差し替えられており、この界隈が「すみれ推し」に舵を切りはじめていることがわかります。