差別とは何か。結合双生児の姉妹を描いた傑作ミュージカル「サイド・ショウ」

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 日本版では初演再演ともに、ヴァイオレットは貴城けい、デイジーは樹里咲穂の、ともに元宝塚歌劇団の女優が演じています。ヒルトン姉妹は腰の部分が結合していますが、劇中では離れないよう衣裳などでくっつけるのではなく、すべて振付と俳優自身の動きで本当に体が結合しているようにみせています(余談ですが、スタイルの良い女優が多い元宝塚の中でも樹里は特に美脚であり、体のシルエットがくっきりわかる衣裳が多い同役では、結合部分よりもつい美しい脚に目を奪われてしまいます)。

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左)樹里咲穂 右)貴城けいのコンビで2010年に上演

 その振付とステージングには、ボス役として出演している大澄賢也が起用されています。自身もダンサー出身の大澄の振付は(世間でのテレビタレントとしてのイメージとはかなり違って)ダイナミックでとても斬新です。見世物小屋ではヒルトン姉妹だけでなく、さまざまな“フリーク”の面々が登場しますが、「バケモノを見においで」と歌われる見世物小屋のショーは、にぎやかながらも哀愁も感じさせます。

小屋に入れば差別されない?

 スカウトされ成功を掴むチャンスに、スターに憧れるデイジーは喜びますが、幸せな結婚を夢見るヴァイオレットは戸惑いも見せます。小屋を出ることに一番反対したのは、もちろんボス。プラスのお金を払えばふたりの裸を観客に見せることもいとわないボスは、彼女たちをひどく扱う人物の筆頭ですが、「ここにいたら、差別されずに暮らしていけるんだから」という説得は、フリークスたちが小屋の外でどんな目に遭うか、“世間”をもっとも知っているからこそでもあります。

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差別とは何か。結合双生児の姉妹を描いた傑作ミュージカル「サイド・ショウ」の画像1
差別とは何か。結合双生児の姉妹を描いた傑作ミュージカル「サイド・ショウ」の画像2 ウェジー 2015.06.02

 ヒルトン姉妹はデビュー直後こそ、世間知らずの女性であるがゆえの、男性からの下世話な態度に困惑もしながらも、スターへの階段をかけあがるとともに、如才なさや強さも身に着けていきます。自分たちが愛されるはずがない、とお互いを戒め合いますが、バディとテリーへの気持ちは募る一方。

 バディはヴァイオレットにプロポーズしますが、そこには結婚に憧れる彼女への同情と、有名なヒルトン姉妹と結婚することで自分の名も上げたいという野心が隠れており、式は直前でドタキャンに。また、テリーはいくらデイジー自身を愛していても、常にもうひとり=ヴァイオレットがいることを受け入れられませんでした。

 他方でひそかにヴァイオレットに心を寄せていたジェイクは、デイジーと肉体がつながっていても気にしないと思いを伝えますが、彼女からの答えは「肌の色が違うから結婚できない」という拒絶でした。

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