差別とは何か。結合双生児の姉妹を描いた傑作ミュージカル「サイド・ショウ」

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 純粋さから恋に舞い上がるヴァイオレットの愛らしさと、自分たちの境遇から恋に慎重になり、だからこそ恋に溺れるデイジーの切なさは、体のハンディキャップとは関係なく普遍的なものです。

 そして、人間は意識せずとも、無意識に他者を差別し、差別されていることも。社会の底辺にいて「ありのままの私を愛してほしい」「みんなと違う、それが罪ですか」と歌うヴァイオレットが、ジェイクの人柄や存在自体は好ましく感じ頼っていても、黒人だからと当然のように対等な結婚相手とはみなさなかったように。

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差別とは何か。結合双生児の姉妹を描いた傑作ミュージカル「サイド・ショウ」の画像2 ウェジー 2019.02.21

 失意のふたりの心の支えは、ハリウッドから届いた、彼女たちのスターぶりを伝える映画でした。そのタイトルは「フリークス」。“普通”のひとが持つ愛や生活に憧れた彼女たちが、普通でない体ゆえにスターの座を手に入れたことを強烈に皮肉る幕切れで、劇中のヒルトン姉妹がこの映画のタイトルをどう思ったのかは、観客の想像次第。ちなみに、実在のヒルトン姉妹は1932年、同名の映画に本人役で出演しています。

 ひとは誰でも、性別や身長、家族など、どんなに努力をしても変えられないものがあるものです。たとえ受け入れがたいものであっても、それが自分だと認め、それを乗り越えた先にこそ未来が待っているはず。結合双生児を描いた作品は映画では数多くありますが、ショーアップされたミュージカルだからこそ、そんなメッセージを生々しすぎず、しかしダイレクトに伝えられるのではないでしょうか。

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