「安く旅行できて金もうけ」はウソ! 拡大する「旅行ネットワークビジネス」の罠

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関東経済産業局が公表したリゾネットの手口とは?

 リゾネットの本社は東京都中央区。沖縄やハワイにも事業所があり、シンガポール、台湾にも進出するなど、グローバルに展開している。

 リゾネットのホームページには、「自分らしい旅の発見」「会員スペシャル価格で国内&海外旅行プランをご提供」など、旅行好きな人の心をくすぐるコピーが並ぶ。同社は国内外の高級ホテルや温泉旅館のほか、スポーツジムやレジャー施設とも提携。会員特権でこれらの施設もお得に利用できるというから、ライフスタイルの充実や自分磨きを望む人にとっては魅力的に映るかもしれない。

 そんな旅行ビジネスを営む会社の会員集めの手法は、およそ健全とはほど遠いものだった。関東経済産業局が公表した勧誘事例からは、その生々しい手口の実態が見えてくる。

 Xは、旅行が好きだという知人Aを食事に誘う。その席で旅行会員権のパンフレットを見せながら「会員になれば安く旅行ができる」と説明した。Aが興味を示したので、2人そろって説明会に参加することに。説明会では、勧誘者Zがパワーポイントを使って旅行会員権の特典内容をわかりやすく解説。「提携先のホテルや施設がたくさんあり、会員になればいつでも割引料金で宿泊できる」というもので、さらに、「入会時に17万円くらいの負担と維持管理費として毎月1万3,500円かかるが、2人紹介して2人とも入会すると、一時金として3万円が入り、紹介料として毎月3,500円の収入が手に入る」と続けた。Xも「紹介するだけでお金が入り、元も取れる」など、いかに得するかを強調し、旅行会員権の購入を勧めた。紹介するだけで旅行が安くなるという話に魅力を感じたAは、契約締結に合意した。

 商材の勧誘では、勧誘の目的を事前に告知しなければならず(勧誘目的の明示義務)、また「簡単にもうかる」「絶対に稼げる」など、煽るような表現も使ってはならない(特定利益に関する事項についての不実告知)。違反すれば業務停止や業務禁止などの行政処分、あるいは罰則が科される。

 リゾネットの法務課に問い合わせたところ、同社は現在、新規の会員募集を停止しているという。既存会員向けにのみ、サービスを継続中ということだ。

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