SNSを糸口に拡大
旅行会員権というサービスを武器に、会員数を増やしてきた「旅行ネットワークビジネス」。化粧品やサプリメント、日用品といった商品メインのマルチ商法と何が違うのかといえば、入り口がビジネスではなく「趣味」ということだ。
ターゲットとなるのは旅行好きの人たちで、「安く旅行ができる」「海外の高級ホテルに無料で泊まれる」などとうたうパンフレットをまず見せる。そのようにして趣味の充実と仲間づくりができると匂わせておきながら、ビジネスの話へとつなげる。最終的な目的は勧誘だが、入り口で勧誘と思わせないところがポイントだ。
マルチ商法で許されるのは、“正しい勧誘”のみ。つまり、「氏名などの明示」「広告の表示」「誇大広告の禁止」など、特定商取引法に沿った内容の勧誘方法しか認められない。今回のリゾネットの場合、たとえ相手が興味を示して話に乗り出しても、最終的には勧誘に持っていくわけだから、目的を隠すのは「勧誘目的の明示義務違反」に相当するわけだ。
また、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを有効活用している点も、旅行ネットワークビジネスにみられる特徴のひとつ。たとえばFacebookなどで、旅行先で撮った写真をふんだんにアップし、友人知人からのリアクションを待つ。反応を示した人に声をかけ、食事などに誘う。旅行話で盛り上がった後、説明会につなげるという流れだ。
国民生活センターによると、昨今の傾向としてはSNSが勧誘の受け皿になるケースが多く、しかも相談相手として圧倒的に多いのが20代。SNSを使えば、「楽してお金を稼ぎたい」「仲間がほしい」「現状の生活に不満」といった悩みを持つ若者も見つけやすい。そうして薄く広くつながった交友関係のなかでの勧誘行為は、近しい人を相手にするよりも抵抗が少ない。手ごろかつ効率的に会員集めをするうえで、SNSは格好のツールともいえるわけだ。