袋だたきに遭うMMT
主流派と呼ばれる経済学では、財政赤字は悪だ。なかには一時的な財政拡大は認めるという一派もあるが、基本的には悪である。政府の債務が積み上がってしまうと国際的な信用が低下し、その国の国債が売り出されてしまう。その結果、国債の金利が上昇して債務返済が困難になってしまうという理由だ。
実際、ギリシャやアルゼンチンなどは債務不履行に陥っているではないか、と主流派は言う。しかし、MMT支持者たちはこの理論を笑う。米国や日本など、自国通貨で借金をできる政府は通貨発行権を持っているため、破綻のしようがない、というのだ。
この理屈はもっともだ。MMT支持者の主張は、日本という国で実証されている。
日本ではずいぶんと昔から財政破綻が叫ばれている。1995年に武村正義大蔵大臣(当時)が国会で財政破綻宣言をしたのが始まりとも言われている。しかし、いっこうに金利は上がらないし、破綻しそうにもないではないか。
米国も同様だ。MMTはでたらめな理論ではない。経済産業省の官僚で評論家でもある中野剛志氏は次のように語っている。
“現代貨幣理論は、クナップ、ケインズ、シュンペーター、ラーナー、ミンスキーといった偉大な先駆者の業績の上に成立した「整合的に体系化された理論」なのである。”(東洋経済ONLINE:2019/3/26)