有給休暇を取得すれば「破綻する」職場、責任は無能な経営者にあり

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有給休暇を取得させることが会社の義務になる

 そんな日本人が有給休暇を取得するためには、情けないことだがやはり強制力のあるルールがなければ難しいだろう。

 そこで4月からは改正された労働基準法が実施されて、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が企業側に義務づけられることになった。

 これはすべての企業(業種や規模に関係ない)が、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、1年以内に5日(少ないが)の有給休暇を、使用者が時期を指定して取得させる義務があるということだ。

 もう少し条件について詳しく示すと、「雇入れの日から6ヶ月継続して雇われている」「全労働日の8割以上出勤している」の2点を満たす労働者は10日の年次有給休暇が付与されており、このうち年に5日以上取得させなければ、企業が罰せられるのだ。

 この「罰せられる」ところがキモである。というのも、これまでは罰則がなく強制力がなかったからだ。今後は企業がこの義務をまっとうしなかった場合、労働基準法違反となる。具体的には、就業規則に記載しなかった場合は労働者一人につき30万円以下の罰金、有給休暇を与えなかった場合は6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となる。これは正規社員に限らず、派遣社員やパートタイム労働者も、年10日以上の有給休暇が付与されている人に対し、使用者は5日以上の有給休暇を取得させる義務が生じる。

有給休暇を取らない正社員は毎年13万5000円を失っている?

 有給休暇を取得せずに頑張っている社員には知っておいてほしい試算結果がある。

 第一生命経済研究所の試算によると、2017年の正社員の有給休暇未消化分を給与額に換算すると、なんと日本全体で4兆円相当になったという。

 この4兆円はどこに消えたのか? よく考えてみる必要がある。この金額は正社員一人当たりに換算すると、13万5000円程度損したことになるのだ。これは大きな金額だ。

 この意味からも、これからは積極的に有給休暇を取得したほうがいいだろう。また、有給休暇取得の義務化を、企業側にとっては不利益だと受け取っている経営者や管理職がいれば、注意が必要だ。

 有給休暇取得義務化は、企業の労働環境や業務の効率の悪さを改善する機会だと捉えられるようでなければならない。

 従業員が正当な休暇を取っても仕事に支障が出ないような組織作りや業務の効率化ができていないのであれば、その経営者や管理職に責任がある。

 「人手が足りないのだ」と言うのも、魅力ある職場作りを怠ってきた言い訳に過ぎない。あるいは従業員に対する正当で公正な利益分配をしてこなかった(つまり安くこき使ってきた)ということではないだろうか?

 ここで経営者や管理職に勘違いしてほしくないのは、「それでは5日取得させれば罰則から逃れられるのか」ということだ。

 そのような了見では相変わらず社員の権利を認めていないことになる。有給休暇を100%取得できる環境を整備すべきなのだ。

 このような機会に、雇用者も被雇用者も、日本の時間当たり労働生産性がOECD加盟国35カ国中20位(2016年)である理由を考えてみるべきであろう。

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