イチローの引退会見で記者のレベルの低さを批判するのは的外れ 記者会見で得られる情報をどう読むか

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引退会見中のイチロー選手 写真:AP/アフロ

 米大リーグ・マリナーズのイチロー選手が現役を引退した。引退会見は試合終了後の深夜に行われ、質疑応答は80分と異例の長丁場となった。

 イチロー自身の話題もさることながら、今回の引退会見では主にネットを中心に記者の質問に関する激しい批判が巻き起こった。近年、記者会見における記者の質問内容を批判するという流れがネットでは定着しているが、記者会見をうわべだけで評価すると真実を見誤ることも多い。以下では記者会見を見る時のコツについてお話したい。

普段、笑わないイチローを笑わせた「くだらない」質問

 記者会見というのは個別の取材とは異なり、不特定多数のメディアが集まり、それぞれのメディアが質問を行うという少々特殊な場である。会見に何を求めるのかはメディアによって異なるので、質問内容もバラバラになるのが普通だ。特に今回は一流選手の引退会見とあって、普段なら野球について取材しないようなメディアの記者も押しかけてきたため、質問の内容はさらに多岐にわたった。

 一般紙やテレビ局に所属し、初めてイチローを取材する記者であれば、「今のお気持ちは?」などに代表されるような、つまらない、ごく一般的な質問をする可能性が高い。一般紙やテレビを見ている人のなかには野球に詳しくない人もいるし、イチローの人柄をよく知らない人もいるからである。

 同じテレビでも、番組の内容によっては、普段は見られない表情を映像としてとらえることを重視するケースもある。

 今回の会見ではテレビ局の女性アナウンサーから「私たちが大きなギフトをもらったような気持ち(です)」と質問ともファンの声援ともつかない発言があった。ネットでは「アホな質問」といった批判の声が殺到していたが、イチローはこれに対して「そんなアナウンサーっぽいこと言わないでくださいよ(笑)」と返し、ギフトについて丁寧に説明していた。

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