
「Getty Images」より
先月末、BuzzFeedNewsに、エディターの小林明子さんによる「生理用ナプキンを買うとき、二重包装してほしい? それとも必要ない? お店の対応は」という記事が掲載されていた。
小林さんがツイッターで「ナプキンを二重包装してほしい人はどのくらいいるの?」とアンケート調査を行ったところ、2日間で2万1200件の投票があり、「生理用品は二重包装してほしい」が24%「生理用品は二重包装しなくてよい」が76%という結果が得られたという。
生理用品の「二重包装」というのは、会計時にレジで、生理用品をまず紙袋で包んでから、ごく一般的なポリエチレン製のレジ袋に入れることを指している。
私がまだ子どもの頃、スーパーマーケットのレジ袋が紙袋だった時代は、生理用品のみならず他の商品も外側からは見えなかった。しかし、ポリエチレン製のレジ袋が普及してからは、「隠したい商品」だけ紙袋に入れるようになったのである。
現在では、スーパーとコンビニは、紙袋に入れてから通常のレジ袋に入れ、ドラッグストアは「隠したい商品」を買った客には、「不透明のレジ袋」を使うという形が一般的である。「不透明のレジ袋」の色は黒だったりシルバーだったり、店によって異なる。
この「二重包装(黒い袋)」問題は、月経観についての一大トピックであるため、2万1200件もの投票が行なわれた小林さんの調査結果は意義深い。
小林さんは、「あくまでもTwitterユーザー向けのアンケートなので偏りはあるかもしれませんが」と断っているが、それにしても、「二重包装してほしい」派が過半数を占めているのではないかと考えていた私にとっては、「してほしくない」派が7割以上を占めるという数字は意外だった。
今回少数派だった「二重包装してほしい」と回答した人たちのコメントも、「身近な他人に生理中だと知られるのは嫌だなぁって思う」「生理を何故かエロコンテンツとか下品な事みたいにみなす人が多いので二重にして直接的に見られないのは有難い配慮だとは思う」など、具体的だった。
小林さんの記事を読んだ私の知人らからは、「二重にしたらかえって中身がわかってしまうのになんで?」という反応や、次のような生々しいコメントも寄せられた。
「私も二重包装してほしくない派。でも若いときは女性店員さんから買いたくて、わざわざそうなるように調整して並んでるのに、空気読んでくれないやる気満々の男性店員が、予想外のスピードでやけに仕事早くてそっちが空いちゃって、『こちらへどうぞ!』とか大声で呼んでくれちゃって、ああーって思いながら差し出したカゴの中にある生理用品を見つけてその男性店員の人があっ、となって律儀に丁寧に紙袋に入れてテープしてくれるその、微妙〜な間がなんとも言えず長く感じて、だから私はあっちのレジになるように調節してたのにもぉ!でもこの人はまじめにきちんと包装してくれててただありがたい限りなんだよな、イラっとしちゃだめだよな、なんて思った」
私はこの女性と同い年なので、大いに共感した。数十年前は(少なくとも私が育った環境では)生理用品は隠すことが当たり前で、「二重包装」について疑問を抱く人などほとんどいなかった。
私は今も、どちらかと言うと「二重包装してほしい」派である。生理用品に限らず、自分の選んだ商品が、人目にさらされることが好きではないのだ。自意識過剰かもしれないが、買い物からあれこれと「詮索」されるのがイヤなのである。
また、以前大手ドラッグストアチェーンに問い合わせたところ、「不透明のレジ袋」に入れることになっている商品は、生理用品とコンドームと育毛剤とのことだったが、 「隠したい商品」は人それぞれだろう。
先日、駅前のドラッグストアで白髪染めを買ったら、レジで半透明の(中身が見える)袋に入れられた。白髪染めは、「不透明レジ袋」の対象外なのだろう。いつも駅から自宅まで歩く間に、誰かしら知り合いに会う。私は白髪を隠すために白髪染めを使っているのに、白髪染めをぶら下げて歩いていたら白髪を染めているとバレバレである。持っていたバッグに余裕はなかったが、白髪染めを無理矢理突っ込んで帰った(なぜ私は白髪を隠したいのかというお題については、またあらためて)。
以来、私はエコ目的ではなく、目隠し用にエコバッグを持ち歩いている。
ところで、小林さんのアンケートに対して寄せられたコメントや、私の知人から寄せられたコメントの中には、生理用品の「パッケージをシンプルにしてほしい」とか、「モノトーン系や茶系のパッケージがいい」というものがあった。つまり、パッケージが変われば、「二重包装(黒い袋)」は不要ということだろう。
こうした意見を受けて、長らくラブリー一辺倒だったパッケージデザインが、シンプルに変わりつつある。今後、ドラッグストアやスーパーの生理用品コーナーの色合いも変化していくだろう。「第3次月経観ムーブメント」を象徴する光景となるかもしれない。