日本は外国人介護職員を受け入れられる体制にあるのか 人材不足と指導力不足が招くハラスメント問題

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要介護者及び家族のモラルのなさも 

 昨今、財務省や日大アメフト部に端を発した「セクハラ」「パワハラ」問題が話題となっているが、要介護者による介護職員へのハラスメントも、介護職員の「離職率」と相まって、長年の大きな課題となっている。2018年4月に公表された介護系労働組合「日本介護クラフトユニオン」による調査報告によれば、介護現場で働く者のうち約3割が高齢者やその家族にセクハラを受けた経験があるという。しかも、これらセクハラ問題は、10年以上も前から顕在化しており、2007年1割以上の介護職員がセクハラ被害に遭っていた)。

 実際、筆者のゼミ生(卒業生)であった介護職員も、要介護者やその家族のセクハラやパワハラにより、耐えられず辞めてしまったケースがある。具体的には要介護者家族による「パワハラ」である。介護士に、「やってもらうことが当然」「自分は、毎日、親の介護で疲れているので、ヘルパーにはしっかりやってもらわないと」と、いった気持ちで、介護のやりかた、対応の仕方など「命令」口調で、ヘルパーに頼むケースだ。

 もちろん、サービス業においても「モンスター顧客」のような利用者側による「パワハラ」「セクハラ」に類似する事象は多々ある。しかし、介護現場と違って、常時、そのような顧客と接する必要はなく、適宜、接触を回避することができる。

 日本人の介護職に対して顕在化している要介護者やその家族による「パワハラ」「セクハラ」といった被害が、当然、外国人介護職員にも及ぶ危険性は想定される。多くの高齢者は外国人介護職員を好意的に受け入れるかもしれないが、一部の要介護者の中には、外国人介護職員を見下し横柄な態度をとる高齢者もいるかもしれない。ハラスメントにとどまらず、外国人に対する偏見・差別を持つ利用者が、そうした言動をとることも考えられる。

 その意味では、既述のような中間管理職の適切な介護施設内でのマネジメント機能がしっかとなされなければ、いくら外国人介護職員を受け入れても長続きしない恐れは否定できない。

まとめ

 今、介護人材不足対策で早急に取り組むべき1つとして、適切な「中間管理職」を育成・養成することにある。具体的には施設系では介護長、副介護長などが、訪問介護などの在宅系では管理職などがその対象として挙げられる。これらの層が不適切な指導・養成を続けている限り、最終的には介護人材不足の解決にはいたらない。

 そして、中間管理職の上司である施設長や支店長(支配人)なども、このような状況を深く認識することが不可欠である。

 なお、国や自治体も、介護事業所における中間管理職研修の企画など、公共政策として実施していくことが重要であろう。「労務規定」「パワハラ対策」「現代若者の教育研修」など、社会で中間管理職を育てることを忘れてはならない。

 若い外国人及び介護職員を「過保護しすぎる」のではないかと意見を抱く者もいるであろう。しかし、ときに報道される過酷な労働環境に置かれている外国人労働者の実態や介護人材不足が深刻化する現状を考えれば、こうした対策を取り組まざるをえないことを介護業界は深く認識していかなければならない。

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