
大人計画オフィシャルウェブサイトより
現在、大河ドラマ『いだてん』(NHK)を手がけている宮藤官九郎。『いだてん』は作品の舞台に近現代を選ぶなど、大河ドラマとしては革新的な試みをしたもので、これまで大河ドラマに親しみがなかった若年層から人気を得る一方、その評価とは裏腹に視聴率の面では苦戦している。
ネットニュースではしばしば「『いだてん』低視聴率」問題が取り上げられている状況だ。そんななか、宮藤官九郎は「週刊文春」(文藝春秋)2019年4月18日号に掲載された連載エッセイ「いまなんつった?」のなかでこのように綴っている。
<ここ数年ネットニュースを見ると頭痛がするようになりました。Twitterを含め見ないようにしています>
ただ、宮藤官九郎がここまで強くネットニュースに違和感を示すようになった原因は『いだてん』ではない。それは2016年にまで遡るという。
宮藤官九郎が絶望を感じた出来事
宮藤官九郎が監督と脚本を務めた映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』は2016年6月に公開されているが、この映画の公開をめぐっては紆余曲折があった。
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』はもともと2月6日公開予定だったのだが、公開直前の1月15日に軽井沢スキーバス転落事故が起きる。
これは大型観光バスが道路脇に転落して乗客41人のうち15人が亡くなった大事故。この事故の影響により、バス会社におけるドライバーの過重労働について議論が起きるなど、社会的な問題となった。
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』は、修学旅行中のバス事故によって地獄に堕ちた男子高校生が現世に戻るために悪戦苦闘する設定の物語。現実に起きた事故を想起させることから公開が延期になった。結局、作品はその年の6月25日に公開されている。
宮藤官九郎は公開延期が決まった時期にネットニュースを読み、さらにコメント欄(おそらく「Yahoo! ニュース」のコメント欄)にまで目を通してしまったという。そこには、<どっちみち観ないけど><コケる予感しかない><つまんなそう>といった言葉が並んでいたという。
現実に起きた大事故に配慮しての公開自粛に関して言葉が交わされるならまだしも、そこにあったのは、不幸にも偶然起きてしまった「不謹慎」という状況を隠れ蓑に、映画を観もしないうちからその内容を叩く愉快犯のコメントであり、それに対して宮藤官九郎は<公開延期よりよっぽどショックでした>と述懐している。
安室奈美恵もデジタルデトックス
こうした“悪意”を目にしないよう、極力インターネットを利用しない、エゴサーチもしない等の自衛手段をとる著名人は少なくない。それでも、悪意のコメントを転用した“評判”はあの手この手で耳に届くものだ。おそらく宮藤官九郎も、Twitterやネットニュースを一切見ないようしているとはいえ、なんらかの形で悪意の“評判”に襲われているのだろう。
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