まさかの乳癌発覚に、息子の受験追い込みが重なって そのとき母は

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病いと子供と私

 少子高齢化の影響があるのかどうか。最近、子育て真っ盛りや働く親世代が、自らの体の不調に直面する話をよく耳にするようになりました。

 家族、子ども、命などをテーマに様々な媒体にインタビュー記事を掲載しているライター・玉居子泰子が、子育て中の親が抱える病気との向き合い方を考えていくこの企画。第一回目は40代前半で、乳癌を発症した女性にお話を聞きました。一人息子の中学受験が佳境に入った6年生の夏休み明け、病院から一本の電話がかかってきます。

「あ、やっぱりな」そう思ったのはどこか予感があったから

 東京で自身の会社を経営し、夫と現在中学1年生の息子と3人暮らしをしている今西由加さん(現在46歳)は、昨年9月に乳癌を患い、11月に両胸を全摘した。

 人間ドックを受けたクリニックから電話があった時、今西さんは「やっぱり、今回こそ何かあったんだな」と思ったという。

「実は、7年ほど前に検診で乳癌検査にひっかかったことがあって。良性のしこりがあるということで経過観察だったんです。そのことがあって、1年のにの人間ドックは受けていました」

 いつも胸にあるしこりのことは気になっていたが、1年半ほど前から「あれ? こんなしこりだったっけ?」というわずかな違和感を覚えるようにはなっていた。だが、次の検診でも結果は良性。そして今回受けた人間ドックで、「精密検査が必要」と言われた。

「あ、来たなって。意外と冷静でしたね。ずっと心のどこかに乳癌を気にする気持ちはありましたし。1年前にもう少しきちんと調べていれば早くわかっていたかもしれないですね」

 クリニックの医師からは、精密検査の結果は2週間後にわかるが、95%、ほぼ悪性腫瘍だと思われると告げられた。

 普通ならそこでひどくショックを受けるだろう。自分に置き換えて考えてみると、子供を抱え、責任ある仕事を持った身で、95%以上癌だと言われて冷静でなどいられない。だが、今西さんは自分でも驚くほどに、落ち着いて事実を受け止めたという。

「いつも通り仕事をして過ごしていました。昔からあんまり感情的になったりしない性格なんです。良くも悪くも(笑)。他の人はどう受け止めているんだろう? 大泣きするとか? もちろんショックでしたし、怖かったけど、日常を普通に過ごす以外受け止め方がわからなかったという方が正しいかも」

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