
病いと子供と私
40代前半で乳癌を発症した今西由加さん(第1回)。両胸を切除する手術に踏み切る直前、中学受験を控えた息子に、病気のことを話す決意をします。
今西さんが、乳癌と告知されても落ち込みすぎず、平穏に過ごすために心がけていたこととは?
<前編:まさかの乳癌発覚に、息子の受験追い込みが重なって そのとき母は>
「お母さん癌なんでしょ。知ってたよ」の言葉に唖然
2018年9月に乳癌が確定してからも、治療法が明確になるまでは中学受験を控えた息子さんに伝えるタイミングを測っていたという今西さん夫婦。11月末の手術日が決定した夜、家族で居間に集まった。
「ちょっと話したいんだけど、というと、息子はめんどくさそうに『え、なに〜』とリビングにやってきました。『母親が癌』というのは単語として衝撃的かもしれない、と夫と話して『Breast Cancer Project(ブレスト・キャンサー・プロジェクト)』と題して、これを一つのプロジェクトにみんなで乗り越えよう! と話すつもりだったんです」
用意したホワイトボードを見せながら、「あの、今うちでブレスト・キャンサー・プロジェクト、略してBCPってのが勃発しててね」
そう今西さんが言うと、息子さんはあっけなく答えた。
「乳癌なんでしょ、お母さんが。知ってたよ。BCPってなに。普通に『乳癌』でいいから」
この言葉に、両親は唖然となった。
「えー! なんで知ってたの!? って。理由を聞くと『お母さんの携帯の検索履歴、乳がん祭りだったよ』って言うんです。確かに彼が時々使ってるiPadは私の携帯とリンクしていて、それで知ってたらしいんですね。『でも早く見つかったしお父さんもお母さんも落ち込んでないし、直せるんでしょ。不安とかもう自分の中でもう消化してるから大丈夫だよ』って言われて……。何も言えなくなっちゃいました」
告知を受けてもさほど落ち込まなかった、と言う今西さん夫婦もすごいが、まさにこの親にしてこの息子さんだ。前向きさに驚かされる。
課題があれば、具体的に乗り越える方法を考えるのみ。という今西さんが、検診後に「95%癌」だとプレ告知されてから、やったことはなんだったのか。